セッション情報 ポスターセッション(肝臓学会)

肝硬変・肝線維化3

タイトル 肝P-342:

CONUTによる肝硬変の肝病態評価と進展予測

演者 中村 篤志(日本鋼管病院こうかんクリニック・消化器肝臓病センターDELIMITER都立広尾病院・消化器内科)
共同演者 加藤 考征(都立広尾病院・消化器内科), 梅沢 翔太郎(都立広尾病院・消化器内科), 城野 文武(都立広尾病院・消化器内科), 池田 多聞(都立広尾病院・消化器内科), 秋本 恵子(都立広尾病院・消化器内科), 北條 裕美子(都立広尾病院・消化器内科), 藤澤 信隆(都立広尾病院・消化器内科), 小山 茂(都立広尾病院・消化器内科)
抄録 【目的】肝硬変栄養障害の特徴であるPEM (protein energy malnutrition )は予後の規定因子であり,予備能評価法のChild-Turcotte分類には栄養評価の項目が含まれている.さらに栄養状態と関連する腹水の出現は治療の障害となるため肝病態評価,進展予測は重要となる. CONUT (Controlling Nutritional Status)は2005年に提唱された簡便な栄養評価法であり,今回肝予備能評価法としての有用性を検討した. 【方法】対象は肝硬変93例であり,男女比:68/25,平均年齢59.8歳(33-82),成因はHBV/HCV:27例,アルコール:56例,自己免疫:4例,不明:6例である.CONUTはalb値,総リンパ球数,総コレステロール値をスコア化し正常,軽度,中等度,高度の4段階(0-12)で示す蛋白・脂質代謝と免疫能を反映した栄養評価ツールである. 肝予備能の評価はMELDスコアと対比し,病期の進展を脾腫,腹水,黄疸の有無から初期(全て無),門脈圧亢進期(脾腫のみ),非代償期(腹水/黄疸)の3群で検討した.【結果】1)肝予備能の検討:CONUTの評価では正常~軽度32,中等度36,高度障害25で,各Child-Pughスコアは7±2,9±2,12±1と有意に関連し(p<0.01),MELD スコアとも相関を示した(r=0.614,p<0.01). 2)病期進展の検討:各出現率は脾腫74%,腹水54%,黄疸36%であり所見の有無でCONUT値に差を示し(p<0.01),病期別では初期10例:1.3±1.0,門脈圧亢進期23例: 4.7±3.3,非代償期59例:7.2±3.2と進展に伴い高値を示した (p<0.05). ROC解析による腹水の判別値はCONUT 5 (AUC 0.759,感度89%,特異度56%)であり,予後(死亡/移植14例)はスコア10 (0.839,71,88)とMELD( 0.906,93,76)より高い特異度が示した.【結語】CONUTは肝予備能を反映した簡便・迅速な栄養評価ツールであり病期進展や合併症の予測,更に栄養学的介入による予防に活用できる可能性がある.
索引用語 CONUT, 肝予備能評価