セッション情報 ポスターセッション(肝臓学会)

肝硬変・肝線維化3

タイトル 肝P-344:

ウイルス性慢性肝疾患の経過観察におけるVirtual Touch Tissue Quantificationの有用性

演者 是永 圭子(国立国際医療研究センター・肝炎・免疫研究センター)
共同演者 是永 匡紹(国立国際医療研究センター・肝炎・免疫研究センター), 溝上 雅史(国立国際医療研究センター・肝炎・免疫研究センター)
抄録 【目的】ウイルス性慢性肝疾患の経過観察にVirtual Touch Tissue Quantification(VTTQ)が有用であるかを明らかにする為に以下の検討を行った.【方法】検討1: ウイルス性慢性肝疾患72例(HBV11例,HCV 61例,F0/F1/F2/F3/F4=3例/30例/13例/14例/12例)にVTTQ測定と採血を施行し,Velocity of shear wave (Vs)値,FIB-4値を組織診断と比較した.検討2:半年以上の経過観察し得た290例のVs値の推移をFIB-4値と比較した.【成績】Vs値はStage進行と共に有意に上昇した.Gradeが高いほどVs値は上昇する傾向を認めるも有意差はなかった.ROC解析より得られたcut off値(m/s)は≧F2は1.295,≧F3は1.555,F4は1.920だった.Vs値とFIB-4 値の間には相関を認めたが(r=0.6737, P<0.0001),F4and/orF3以上を判別するためのAUCROC値はVsがFIB-4より高かった.Vsのcut off値よりF1群:1.29未満,F2群:1.29~1.54,F3群:1.55~1.91,F4群1.92以上と分類し,検討した.HBV75例(平均観察期間 620 日)では,F値が悪化したのは5例(6.7%),F値が改善したのは3例(4%)で,全例核酸アナログ製剤投与され奏功している症例だった.HCV215例(平均観察期間 618日)では,F値が悪化したのは11例(5.1%),F値が改善したのは20例(9.3%)で,うち15例がIFN治療SVR症例,2例がIFN投与中だった.F値改善例のうち,抗ウイルス療法の奏功が確認された18例中4例においてFIB-4値は反対に上昇していた.F値悪化例のうち抗ウイルス剤療法が不応であった6例中3例においてFIB-4値は低下していた.F値悪化例は変化が無い例よりALT変動が大きく,F値悪化16例から3例の肝発癌を認めたが,これらの症例ではFIB-4の変化は明らかではなかった.【結論】Vs値は治療奏功例では有意に低下した.Vs値上昇より治療不応の抽出も可能であり,その感度はFIB-4より鋭敏だった.VTTQを長期観察に用いることで病態進行が把握できる可能性があり,特に肝発癌に関しては経過中のVs値上昇にも注意すべきと考える.
索引用語 VTTQ, ウイルス性慢性肝疾患