セッション情報 ポスターセッション(肝臓学会)

肝硬変・肝線維化4

タイトル 肝P-346:

FibroScanを用いた肝弾性値と肝疾患関連バイオマーカーとの相関

演者 藤川 博敏(社会保険横浜中央病院・消化器肝臓内科)
共同演者 長谷川 博雅(松本歯大・口腔病理学), 高安 賢太郎(社会保険横浜中央病院・消化器肝臓内科), 堤 奈津子(社会保険横浜中央病院・消化器肝臓内科), 稲見 真木子(社会保険横浜中央病院・消化器肝臓内科), 小松 まゆみ(社会保険横浜中央病院・消化器肝臓内科), 宇野 昭毅(社会保険横浜中央病院・消化器肝臓内科), 高塚 洋二(元町たかつか内科クリニック), 松岡 俊一(日本大・消化器肝臓内科), 森山 光彦(日本大・消化器肝臓内科)
抄録 【目的】FibroScanは肝弾性度を測定でき,非浸襲的に肝の線維化を数値化できる装置である.前回我々は2012年肝臓学会東部会で,C型慢性肝疾患患者を対象に肝弾性値( Liver stiffness value:LSV)と線維化率(Fibrosis ratio:FR.中心静脈域のAzan染色陽性部位を画像解析して得られた膠原線維の面積率)との間にP<0.001,r= 0.77と正の相関を認めたことを報告した.そこで今回は,LSVと組織の線維化( Fibrosis stage: FS), LSVと線維化マーカーを中心とした各種の血液検査値および非浸襲的肝線維化スコアとの相関関係を検索した.【対象】当院でIFN投与前に肝生検を施行したC型慢性肝疾患42例を用いた.(F0:4例,F1:19例,F2:12例,F3:4例,F4:3例)【方法】1.肝生検施行前にFibroScanを用いて肝弾性値を測定した.2.FSは新犬山分類で評価した.3.統計的解析にはR (version 2.13.0)を用い,LSVのFS群間比較はKruskal-Wallis検定を行った後にMann-Whitney U検定を行い,Holm法で補正した.4.LSVとヒアルロン酸,IV型コラーゲン7S,Alb,ChE,Plt,その他,AAR(AST/ALT), FIB4 index( AST×年齢/血小板×√ALT)間のSpearmanの順位相関係数を求めた.いずれもp<0.05を有意差ありと判定した.【結果】LSVと FS間の多群比較ではF0:F2(P<0.05), F1:F2( P<0.005), F1:F3( P<0.05), F1:F4( P<0.05)で有意差を認めた.LSVとIV型コラーゲン7Sでr=0.71(p<0.001), FIB4 indexでr=0.57(p<0.001), Pltでr=0.45(p<0.01)と相関を認めた.【考察】Castera L等はFibroscanを用いた線維化の診断精度は低いと報告している(J Hepatol. 2009).我々の検索症例数は少ないが,FibroScanを用いた肝弾性値は,組織学的評価法であるFSやFRのみならず,線維化マーカーや非浸襲的肝線維化スコア評価法と統計学的に相関がみられた.以上から,C型慢性肝疾患の肝線維化の評価法として有効な手段と思われ,種々のマーカーの組み合わせで診断精度の向上も期待できると考えられた.
索引用語 FibroScan, 肝弾性度