セッション情報 ポスターセッション(肝臓学会)

肝不全・栄養療法3

タイトル 肝P-354:

分子鎖アミノ酸製剤の肝細胞癌に対する肝動注化学療法奏効率への影響

演者 平井 真吾(公立八女総合病院・肝臓内科)
共同演者 永松 洋明(公立八女総合病院・肝臓内科), 筒井 りな(公立八女総合病院・肝臓内科), 城野 智毅(公立八女総合病院・肝臓内科), 出口 章広(公立八女総合病院・肝臓内科), 鳥村 拓司(久留米大・消化器内科), 佐田 通夫(久留米大・消化器内科)
抄録 【目的】分子鎖アミノ酸製剤の効果は,血清アルブミン濃度改善のほかさまざまな報告がなされている.近年,化学療法の奏効率を改善するとの報告もみられたため,当院において,肝細胞癌(HCC)に対する肝動注化学療法(HAIC)の奏効に分子鎖アミノ酸製剤が関与していたかをretrospectiveに検討した.【対象】2003年6月から2012年12月の期間,当院にてHAICを行った208例のHCC症例(Child Pugh A/B/C:105 / 78 / 25例,StageIII/ IV-A/IV-B:79 / 111 / 18例,Regimen NFP/LFP/その他:93 / 106 / 9例 )を対象とした.【方法】分子鎖アミノ酸製剤を内服していた84例をA群,内服していなかった124例をB群とした.A群,B群の症例間,奏効の比較はMann Whitney-U検定で行った.主なregimenはNFPまたはLFPであるが,それぞれの奏効率もA,B群間で比較した.累積生存率(OS)はKaplan-Meier法で示し,A,B群間の差をLog Rank検定で比較した.【結果】A群/B群で入院時血清アルブミン値,退院時血清アルブミン値は2.59 / 2.78mg/dL(P=0.005),2.39 / 2.48mg/dL(P=0.155)であった.HAICの平均継続回数は10.7 / 9.6(P=0.051).全体の奏効率は51.2 / 56.4%(P=0.166),LFP,NFPの奏効率はそれぞれ45.5 / 38.7%(P=0954),56.7 / 73.9%(P=0.099)であった.全体の症例で累積生存率は中央値(MST)で13 / 15か月(P=0.610).肝機能別に検討してみると,Child Pugh A症例のMSTはA群(26例)/B群(79例):22 / 16か月(P=0.720),Child Pugh B症例のMSTではA群(45例)/B群(33例):12 / 15か月(P=0.593)であった.【結論】A群はB群に比較すると有意に入院時血清アルブミン値が低値であったが,分子鎖アミノ酸製剤によりアルブミン濃度が保たれ,動注継続が可能であった.このことは,分子鎖アミノ酸製剤によるHAICの奏効には差がみられなかったが,肝機能不良例が多いにも関わらず予後の差がなかったことに寄与していると考えられる.
索引用語 分子鎖アミノ酸製剤, 肝動注化学療法