セッション情報 ポスターセッション(肝臓学会)

原発性肝癌-発癌3

タイトル 肝P-363:

アルコール性肝障害/非アルコール性脂肪肝炎を背景とした肝細胞癌の臨床像

演者 木岡 清英(大阪市立総合医療センター・肝臓内科)
共同演者 上野 綾子(大阪市立総合医療センター・肝臓内科), 小谷 晃平(大阪市立総合医療センター・肝臓内科), 中井 隆志(大阪市立総合医療センター・肝臓内科), 川崎 靖子(大阪市立総合医療センター・肝臓内科), 佐野 弘治(大阪市立総合医療センター・消化器内科), 根引 浩子(大阪市立総合医療センター・消化器内科), 清水 貞利(大阪市立総合医療センター・肝胆膵外科), 金沢 景繁(大阪市立総合医療センター・肝胆膵外科), 塚本 忠司(大阪市立総合医療センター・肝胆膵外科)
抄録 【目的】アルコール性肝障害を背景とした肝細胞癌(HCC)と非アルコール性脂肪肝炎(NASH)を背景としたHCCの臨床的特徴を検討した.【方法】1994年から2011年までに当院で初回治療を行ったHCC:1635例を対象とした.このうちHBs抗原とHCV抗体が陰性の非B非C-HCC(n=269)をアルコール多飲の有無で2群に分け,その背景因子を比較した.さらに肝切除で背景肝が確認できたNASH(n=10)とアルコール性肝障害(多飲,n=49)を比較した.【成績】非B非C-HCCの割合は1994年~1999年(9%),2000年~2005年(15%),2006年~2011年(27%)と年代とともに増加したが,近年になっても進行例が多く,予後改善を認めなかった.非B非C-HCCをアルコール多飲の有無で比較すると多飲群(n=113)は非多飲群(n=156)に比べて若年で男性の割合が多く,非多飲群の約半数に脂肪肝,BMI>25,糖尿病合併を認めた.肝切除例でNASH:アルコール性肝障害を比較すると,年齢(67±7:66±8),男性の割合(90%:98%)を含めて,BMI,糖尿病合併率,高血圧合併率,肝線維化,肝予備能,HCC進行度,予後に差はなかった.【結論】非B非C-HCCの42%(HCC全体の約7%)にアルコール多飲(アルコール性肝障害)を認めた.非多飲の約半数(HCC全体の約5%)に脂肪肝・肥満・糖尿病合併を認め,これらは非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)と考えられた.肝切除例でNASHとアルコール性肝障害を比較したが,背景因子・予後に差はなかった.NASH(またはNAFLD)とアルコール性肝障害を背景としたHCCは増加傾向にあり,近年になっても進行例が多いため予後は改善されていなかった.早期発見のため,アルコール性肝障害・脂肪肝・肥満・糖尿病を対象とした肝癌検診の検討が必要と考えられた.
索引用語 NASH, 肝細胞癌