共同演者 |
織部 淳哉(大分大・消化器内科), 岩尾 正雄(大分大・消化器内科), 正 宏樹(大分大・消化器内科), 所 征範(大分大・消化器内科), 西村 順子(大分大・消化器内科), 吉原 光江(大分大・消化器内科), 遠藤 美月(大分大・消化器内科), 清家 正隆(大分大・消化器内科), 村上 和成(大分大・消化器内科), 山下 勉(国立大分医療センター・消化器科), 福地 聡士(国立大分医療センター・消化器科), 室 豊吉(国立大分医療センター・消化器科), 首藤 能弘(大分循環器病院・消化器科), 高橋 祐幸(大分循環器病院・消化器科), 森 哲(大分循環器病院・消化器科) |
抄録 |
(目的)近年,非ウィルス性肝疾患からの発癌が増加傾向である.NBNC肝癌の原因の大半はアルコール性肝障害(ALD)であり, その次に多いのが非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)である.今回,ALD, NASH肝癌の臨床的特徴,予後について検討するため,当院及び関連施設において治療を行なった症例にいて解析した.(方法)1992年から2012年6月まで加療を行った原発性肝細胞癌1480例のうちALD, NASH肝癌の臨床的特徴や累積生存率について検討した.(結果)肝細胞癌1480名のうちB型, B+C型, C型, NBNC肝癌の割合は16.5%(244名), 1.4%(21名), 67.2%(996名), 14.8%(219名)であった.NBNC肝癌の原因はALD 51.6%(113名), NASH 10.0%(22名), ALD+NASH 0.9%(2名), AIH 5.5%(12名), PBC 4.6%(10名), 原因不明27.4%(60名)であった. B型,C型,ALD,NASH肝癌の割合は1999年までは14.1%, 81.0%, 4.9%, 0%, 2000年~2006年は18.1%, 74.0%, 6.7%, 1.2%, 2007年以降では18.8%, 67.0%, 11.5%, 2.7%であった.B型, C型, ALD, NASH肝癌の臨床的背景を比較すると,年齢は(60.9±10, 69.5±9, 69.3±9.2, 70.1±8), 男性(77.5%, 61.4%, 94.7%,63.6%, p=0.000) , Child-Pugh A/A+B+C(69.5%,76.2%,73.1%,89.5%,p=0.01), Stage3+4a+4b/1+2+3+4a+4b(45.0%,30.4%,42.2%,50.0%,p=0.000),糖尿病有病率(16.6 %,29.1%,45.9%, 65.0%, p=0.000)であった.B型, C型, ALD, NASH肝癌における1年生存率は82.8%, 92.1%, 82.0%, 76.4%, 3年生存率は65.9%,76.3% ,78.7%, 71.6%, 5年生存率は54.5%,64.8%,68.6%,50.1%であった(log-rank test, p=0.016).(結語)ALD, NASH肝癌は進行癌で発見される率が高く, 早期予後が不良である.そのため早期発見のためのリスク因子の設定が必要であると考えられる. |