セッション情報 ポスターセッション(肝臓学会)

原発性肝癌-診断3

タイトル 肝P-370:

血清糖鎖マーカーによる進行肝細胞癌の予後予測

演者 宮原 孝治(岡山大大学院・消化器・肝臓内科学)
共同演者 能祖 一裕(岡山大大学院・消化器・肝臓内科学DELIMITER岡山大大学院・分子肝臓病学), 森元 裕貴(岡山大大学院・消化器・肝臓内科学), 和田 望(岡山大大学院・消化器・肝臓内科学), 竹内 康人(岡山大大学院・消化器・肝臓内科学), 萩原 宏明(岡山大大学院・消化器・肝臓内科学), 桑木 健志(岡山大大学院・消化器・肝臓内科学), 大西 秀樹(岡山大大学院・消化器・肝臓内科学DELIMITER岡山大大学院・分子肝臓病学), 中村 進一郎(岡山大大学院・消化器・肝臓内科学), 白羽 英則(岡山大大学院・消化器・肝臓内科学), 天野 麻穂(北海道大大学院・先端生命科学研究院新薬探索研究分野), 西村 紳一郎(北海道大大学院・先端生命科学研究院新薬探索研究分野), 山本 和秀(岡山大大学院・消化器・肝臓内科学)
抄録 【目的】肝細胞癌術後の予後予測に有用な血清糖鎖マーカーが報告されている(Kamiyama T. Hepatology 2013).我々は肝細胞癌,sorafenib導入症例における効果・予後予測因子としての糖鎖マーカーの有用性を検討する.【方法】対象は,当科にて進行肝細胞癌に対してsorafenibを導入された85症例.治療開始前の血清中の全糖鎖を網羅的に解析し(Nishimura S. Adv Carbohydr Chem Biochem 2011),治療効果・予後と比較した.各糖鎖マーカーのcut-off値は中央値とし,無増悪期間(TTP)の評価は画像効果判定のある71症例を対象とした.【成績】症例背景は,年齢: 69歳(中央値),男/女比: 76/9,病因 B/C/nonBnonC: 18/45/22であり,治療後初回のRECIST効果判定 はCR/PR/SD/PD: 0/6/31/48であった.MALDI-TOF MSにて61種の糖鎖が検出され,定量性が確認された33種の糖鎖について検討した.PD症例では15種の糖鎖が増加していた.そのうちm/z3560の糖鎖が高値の症例で無増悪期間(TTP),m/z2890の糖鎖が高値の症例で全生存期間(OS)に対するハザード比(HR)がそれぞれ最も高値であった.TTP中央値はm/z3560高値群で1.8ヵ月,低値群で2.5ヵ月あり,OS中央値はm/z2890高値群8.4ヵ月,低値群11.4ヵ月であった.臨床パラメータの単変量解析では,Child-Pugh gradeがTTPの,performance status,Child-Pugh grade,脈管侵襲,AFP-L3がOSのリスク因子であった.糖鎖マーカーを含めた多変量解析では,m/z3560はTTP (HR 2.27, p=0.003)の,m/z2890はOS (HR 1.88, p=0.036)の独立因子であった.m/z3560,m/z2890は,1分枝がシアル化されていない多分枝糖鎖という共通点があり,肝細胞癌術後の予後と強い関連が報告された糖鎖であった.【結論】血清糖鎖の発現パターンはsorafenibの効果・予後に関与していると考えられた.
索引用語 sorafenib, 糖鎖