セッション情報 ポスターセッション(肝臓学会)

原発性肝癌-診断3

タイトル 肝P-371:

肝細胞癌患者の予後予測診断における血清Fibrinogenの有用性

演者 木下 晃吉(東京慈恵会医大第三病院・消化器・肝臓内科)
共同演者 今井 那美(東京慈恵会医大第三病院・消化器・肝臓内科), 岩久 章(東京慈恵会医大第三病院・消化器・肝臓内科), 大石 睦実(東京慈恵会医大第三病院・消化器・肝臓内科), 小林 剛(東京慈恵会医大第三病院・消化器・肝臓内科), 田中 賢(東京慈恵会医大第三病院・消化器・肝臓内科), 小林 裕彦(東京慈恵会医大第三病院・消化器・肝臓内科), 伏谷 直(東京慈恵会医大第三病院・消化器・肝臓内科), 坂部 俊一(東京慈恵会医大第三病院・消化器・肝臓内科), 木島 洋征(東京慈恵会医大第三病院・消化器・肝臓内科), 小野田 泰(東京慈恵会医大第三病院・消化器・肝臓内科), 宮川 佳也(東京慈恵会医大第三病院・消化器・肝臓内科), 小池 和彦(東京慈恵会医大第三病院・消化器・肝臓内科), 西野 博一(東京慈恵会医大第三病院・消化器・肝臓内科), 田尻 久雄(東京慈恵会医大附属病院・消化器・肝臓内科)
抄録 【目的】血清Fibrinogenは,肺癌,胃癌,大腸癌,卵巣癌,子宮癌など多くの癌患者の予後予測因子として報告されている.しかし,肝細胞癌(HCC)患者における予後予測因子としての有用性は,まだ解明されていない.HCC患者の予後予測診断におけるFibrinogenの有用性につき検討した.【方法】2005年4月から2012年8月の間に,当科で加療を行った初発HCC113例を対象とした.患者背景,腫瘍因子とFibrinogenの相関,および生存に寄与する因子につき検討した.また,当施設の正常上限値400mg/dlをcut off値として,高Fibrinogen群(Fibrinogen≧400mg/dl,n=24)と低Fibrinogen群(Fibrinogen<400mg/dl,n=89)の2群に分け,生存期間について比較検討した.【成績】全患者の観察期間中央値は18ケ月,1年,3年,5年生存率は78.9%,56.8%,29.9%であった. Fibrinogenの中央値は279mg/dlであった. Fibrinogen値は,TNM stage(I 263mg/dl;II 305mg/dl;III 261mg/dl;IV 345mg/dl,P=0.01)であり,脈管浸潤陽性例(345mg/dl)は,陰性例(273mg/dl)に比べ有意に高値を示した(P=0.007).一方,Child-Pugh score(A 308mg/dl;B 230mg/dl;C 223mg/dl, P = 0.003)と,肝予備能低下に伴いFibrinogenは低値を示した.Cox比例ハザードモデルによる多変量解析では,CLIP score(Odd比3.001,P<0.0001)とならんで,Fibrinogen(Odd比1.002,P=0.048)が独立した予後不良因子として抽出された.1年,3年,5年生存率は,高Fibrinogen群51.7%,33.5%,20.1%,低Fibrinogen群85.6%,62.9%,32%であり,高Fibrinogen群が低Fibrinogen群より有意に低かった(P=0.014). 【結論】血清FibrinogenはHCC患者の予後予測因子として有用である.
索引用語 肝細胞癌, Fibrinogen