セッション情報 ポスターセッション(肝臓学会)

原発性肝癌-診断3

タイトル 肝P-372:

肝細胞癌ソラフェニブ治療におけるバイオマーカーの検討

演者 本田 琢也(長崎大病院・消化器内科DELIMITER長崎大病院・がん診療センター)
共同演者 市川 辰樹(長崎大病院・消化器内科), 高原 郁子(長崎大病院・消化器内科), 内田 信二郎(長崎大病院・消化器内科), 加茂 泰広(長崎大病院・消化器内科), 妹尾 健正(長崎大病院・消化器内科), 吉村 映美(長崎大病院・消化器内科), 柴田 英貴(長崎大病院・消化器内科), 三馬 聡(長崎大病院・消化器内科), 宮明 寿光(長崎大病院・消化器内科), 田浦 直太(長崎大病院・消化器内科), 芦澤 和人(長崎大病院・がん診療センター), 中尾 一彦(長崎大病院・消化器内科)
抄録 【背景・目的】がん治療おいて治療に伴う有害事象への懸念も少ないとは言えず,治療効果の予測は治療選択あるいは治療継続の判断に重要な意味を持つと考えられる.SHARP試験の付随研究においても,ソラフェニブの治療効果予測因子は確定されず,その探索は引き続き重要性が高いものと考えられ,当科において検討をおこなった.【方法】当科において2009年5月から2012年7月までにソラフェニブ治療を導入し,治療効果の評価が可能であった33症例について,腫瘍縮小効果,無増悪生存期間(PFS),全生存期間(OS),その他臨床病理学的因子との関連を検討した.【結果】症例数33例,年齢中央値は71歳,男性27例,女性6例,背景肝は正常肝2例,慢性肝炎10例,肝硬変21例,成因はHBV10例,HCV13例,NBNC10例であった.門脈侵襲は4例認めた.StageII6例,III7例,IVa10例,IVb10例であった.RECISTv1.1による治療効果判定ではCR例0,PR2例6%,SD15例45%,PD16例49%,Disease control rate51%.無増悪生存期間中央値は120日,生存期間中央値は511日であった.腫瘍縮小効果からPD群とnonPD群に分けた検討で,無増悪生存期間中央値はnonPD群241日,PD群71日.全生存期間はnonPD群765日,PD群327日であった.腫瘍縮小効果,PFS,OSに対し,各因子の寄与を解析し検討したところ,腫瘍縮小効果では脈管侵襲,PIVKA-2 ,IL-8で有意差をみとめた.PFSにおいては年齢,脈管侵襲,IL-8が有意差がみられ,またOSでも同様に年齢,脈管侵襲,IL-8が有意にみられた.IL-8値と性別,年齢,背景肝,成因,CPスコア,PS,脈管侵襲,Stageなどの臨床病理学的因子との関連はみられなかった.IL-8高値群,低値群の治療効果の比較では,抗腫瘍効果,TTF,PFS,OSいずれもIL-8高値群が不良という結果であった.【結論】血漿IL-8が,ソラフェニブ治療の効果予測因子や予後予測因子になる可能性が示唆された.
索引用語 肝細胞癌, バイオマーカー