共同演者 |
雨宮 秀武(山梨大・1外科), 牧 章(山梨大・1外科), 渡邉 光章(山梨大・1外科), 川井田 博充(山梨大・1外科), 河野 寛(山梨大・1外科), 藤井 秀樹(山梨大・1外科), 市川 新太郎(山梨大・放射線医学), 佐野 勝廣(山梨大・放射線医学), 本杉 宇太郎(山梨大・放射線医学), 市川 智章(山梨大・放射線医学) |
抄録 |
(はじめに) Magnetic Resonance elastography (MRE) は非侵襲的に肝臓の線維化が予測可能な方法である.MREの肝細胞癌(肝癌)肝切除における意義を検討した.(対象と方法)MREを術前に実施した亜区域切除以上の肝切除を実施した肝癌肝切除症例18例を対象にした.亜区域切除9例,区域以上の切除例9例であった.肝切離は片葉阻血または全肝阻血下に,超音波破砕装置を用いて行った.(結果)切除標本の病理学的解析でF4症例は9例,F1-3症例9例であった.F4症例の肝硬度は2.3-7.0(平均4.18)KPaで,F1-3症例の肝硬度値は1.8-4.5(平均2.68)KPaで,F4症例で有意に高値であった(p=0.02).一方,肝硬度値が3.2 KPa以上の症例は全例F4であった.全症例において肝硬度値と肝切離時間および出血量の相関を検討したが,有意な相関は認められなかった.亜区域切除と区域以上の切除に分けて肝硬度値と肝切離時間および出血量の相関を検討したが相関は認められなかった.一方術後に利尿剤の投与を要する腹水貯留を認めた4例の肝硬度値は3.5-7.0(平均5.27)KPaで,治療を要する腹水貯留を認めなかった14例の肝硬度値は1.8-4.5(平均2.90)KPaであり,腹水貯留群で肝硬度値は有意に高値であった(p=0.01).(結語)MREにより非侵襲的に肝硬変合併の有無を術前に予測可能である.一方,今回の検討では肝硬度値と出血量,肝切離時間には有意な相関を認めなかったが,これは検討症例が少数であること,他の背景因子が異なることなどによる可能性もあり,今後多数例での検討が必要である.また,術後の治療を要する腹水貯留症例の肝硬度値は有意に高値で,術後腹水貯留の予測に術前MREが有用である可能性がある. |