セッション情報 ポスターセッション(肝臓学会)

原発性肝癌-局所治療5

タイトル 肝P-380:

進行肝細胞癌に対する5FU/高濃度CDDP短期肝動注化学療法を基軸とした治療戦略

演者 矢田 豊(済生会前橋病院・消化器内科)
共同演者 大山 達也(済生会前橋病院・消化器内科), 竝川 昌司(済生会前橋病院・消化器内科), 渋谷 圭(済生会前橋病院・放射線科), 久保田 潤(済生会前橋病院・放射線科), 高木 均(国立高崎総合医療センター・消化器内科), 吉永 輝夫(済生会前橋病院・消化器内科)
抄録 【目的】進行HCCの標準治療は,ソラフェニブ無効例の方策を含め未定で,集学的治療の標準化が望まれる.我々は進行HCCに対し,肝動注化学療法(HAIC)での薬剤感受性の早期見極めと長期入院によるQOL低下の改善およびDPC環境下での合理性を考慮し,5FU/高濃度CDDP短期肝動注化学療法(3daysFPL)を基軸とした化学療法を施行している.今回,進行HCCに対する3daysFPLを中心とした治療戦略について検討し,治療標準化における問題点を考察した.【方法】対象は2007年10月~2011年10月まで当科で3daysFPLを施行した30例(男性/女性=19/11.平均68.2歳).3daysFPLおよび,その前治療,後治療の治療効果を解析した.導入時Child-Pugh分類 A/B=22/8例.Stage III/IV A=1/29例.全例に動注用リザーバーを留置し,クリニカルパスで運用した.治療レジメンはDay1-3に5FU500mg/m2を,Day2にIA call50mg/リピオドール5ml加温懸濁液をリザーバーより投与し,3日間を1コースとした.【成績】3daysFPLの前治療は肝切除,RFA,TACE,ソラフェニブ.後治療は,IFN-5FU療法(HAIC,全身),ミリプラチンによるHAIC,TACE.3daysFPLの奏効率は40.0%,病勢コントロール率(DCR)は66.3%,MST452日.PFS198 日.生存率は1/2/5年=69.5/23.7/17.8%.OSおよびPFSに関与する因子は,単変量解析で年齢,腫瘍径,PT%,DCR群,多変量解析でDCR群であった.前治療のソラフェニブ無効例に,3daysFPL奏効例を,後治療ではミリプラチン奏功例も認めた.1コース平均入院期間は8.8日で,従来のFP療法に比し短縮し,本法はDPC環境下でもFP療法に比し明らかに合理的であった.【結論】進行HCCに対するHAICでは,薬剤感受性の早期見極めが重要であり,3daysFPLは,1コース3日間と治療戦略構築上も合理的であった.奏効率,短期入院,医療経済的にも有効かつ合理的であり,本法を基軸とする進行HCCの集学的治療は有効と思われる.
索引用語 進行肝細胞癌, 肝動注化学療法