セッション情報 |
ポスターセッション(肝臓学会)
原発性肝癌-局所治療5
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タイトル |
肝P-381:TACE不応進行肝癌の危険因子の検討
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演者 |
相野 一(久留米大・消化器内科) |
共同演者 |
新関 敬(久留米大・消化器内科), 黒木 淳一(久留米大・消化器内科), 田尻 能祥(久留米大・消化器内科), 黒松 亮子(久留米大・消化器内科), 鳥村 拓司(久留米大・消化器内科), 佐田 通夫(久留米大・消化器内科) |
抄録 |
【緒言・目的】TACEは進行肝癌治療の中心的な役割を担うが,TACE抵抗性(不応・不能)を示す場合での標準的治療は確立していない.近年,SHARP trialの結果から,分子標的治療薬の有効性が示され,進行肝癌に対してTACE次ぐコンセンサスのある治療として認識された.これに伴いTACE不応・不能の定義が確立され,漫然とTACEを繰り返すのではなく,奏効の有無を早期に見極め,積極的な治療の切り替えが検討されている.今回当院での,TACE不応進行肝癌の予後と不応に至る危険因子を検討した.【対象・方法】(1)過去2年間で,初回TACE治療を施行した59例の成績,予後因子の解析をおこなった.(2)そのうち治療経過からTACE不応の定義を満たした36例より,TACE不応の臨床的特徴を検討し,TACE不応と相関する臨床背景因子を解析した.【結果・結語】(1)TACEの全成績(n=59).CR:PR:SD:PD=12:22:10:21. TE4:TE3:TE2:TE1=20:24:11:3.奏効率 (CR+PR)=52.3%. MST 648日,累積生存率(1年/2年):81.0%/37.9%.予後解析により,肝予備能(Child-Pugh B+C)(HR 2.5777;95%CI 1.331-4.986, p=0.005 ),腫瘍径(5cm<)(HR 0.286;95%CI 0.096-0.852,p=0.025),腫瘍数(単発)(HR 0.297;95%CI 0.121-0.729,p=0.008),TE4(HR 0.435;95%CI 0.220-0.860,p=0.017)が独立した危険因子であった.(2)TACE不応診断後のMST 265日.TACE不応と相関する臨床背景因子として,肉眼型(単結節型) (OR 0.79;95%CI 0.14-0.448,p=0.004),Child-Pugh B+C (OR 0.177;95%CI 0.41-0.764,p=0.02)が相関する因子として有意差を伴った.今回の解析でTACE不応自体が予後との有意な相関を示さない結果となったが不応に至るまでの期間を1年以内と規定し,再解析を行なうと,TACE不応(1年以内)もHR 5.836 (95%CI 2.770-12.293,p<0.001)と予後と強く相関した.TACE不応に関しては,診断までの期間を定義する事が臨床的には有用であると考えられた.又TACE不応の危険因子としては腫瘍肉眼型,肝予備能が相関する結果となった. |
索引用語 |
TACE不応, 進行肝癌 |