セッション情報 ポスターセッション(肝臓学会)

原発性肝癌-局所治療5

タイトル 肝P-382:

TACE不応症例への治療戦略の検討

演者 和田 望(岡山大病院・消化器内科)
共同演者 能祖 一裕(岡山大病院・消化器内科), 中村 進一郎(岡山大病院・消化器内科), 森元 裕貴(岡山大病院・消化器内科), 竹内 康人(岡山大病院・消化器内科), 安中 哲也(岡山大病院・消化器内科), 萩原 宏明(岡山大病院・消化器内科), 桑木 健志(岡山大病院・消化器内科), 大西 秀樹(岡山大病院・消化器内科), 白羽 英則(岡山大病院・消化器内科), 高木 章乃夫(岡山大病院・消化器内科), 山本 和秀(岡山大病院・消化器内科)
抄録 (緒言)現在我が国では中等度~進行肝細胞癌(HCC)に対し肝動脈塞栓化学療法(TACE)を中心とした治療を行っているが,JSHコンセンサスに基づくHCC治療アルゴリズムではTACE不応例・不能例に対して分子標的薬への移行が推奨されている.しかしTACE不応例の中にも繰り返しTACEを施行し病勢をある程度コントロール可能な症例や,逆にTACEを繰り返し施行することで肝予備能が低下し分子標的薬の使用が困難となってしまう症例もみられる.しかしTACEから動注化学療法や分子標的薬への移行のタイミングは各施設間でバラツキがあり明確な基準がないのが現状である.今回我々はTACE不応例の予後評価を行いTACE不応症例への治療戦略について検討した.(対象と方法)2001年1月から2012年1月までにHCCの治療を開始した症例の中で繰り返しTACEを施行しTACE不応に該当する92症例を対象とし,Cox比例Hazardモデルを用い予後因子を解析した.また,TACE不応後もTACEを2回以上繰り返した症例の中で2年以上生存した例を予後良好群,2年未満の例を予後不良群として両群間の比較を行った.(結果)全症例の生存日数の中央値は570日であった.TACE不応後もTACEを繰り返した症例の生存日数に寄与する因子を多変量解析したところ治療前後のAFP>40 ng/ml(治療前ハザード比 6.15,治療後ハザード比 9.44)および治療前のAFP-L3>10%(ハザード比 6.44)が有意な因子として抽出された.一方,TACE不応後の予後良好群と不良群との比較では腫瘍因子である治療前後のAFP値に加え,背景肝因子としてAST, ALT, Plt値も有意差を認めた.(結語)現状のTACE不応の定義にあてはまる症例でも良好な予後を期待できる症例は存在し,AFP値はTACE不応時の治療方針を決定するうえで有用なfactorとなりうる可能性が示唆された.
索引用語 進行肝細胞癌, TACE不応