セッション情報 ポスターセッション(肝臓学会)

原発性肝癌-局所治療5

タイトル 肝P-383:

Intermediate stageにおけるTACE不応症例の治療戦略

演者 小笠原 定久(千葉大大学院・消化器・腎臓内科学)
共同演者 大岡 美彦(千葉大大学院・消化器・腎臓内科学), 元山 天佑(千葉大大学院・消化器・腎臓内科学), 鈴木 英一郎(千葉大大学院・消化器・腎臓内科学), 太和田 暁之(千葉大大学院・消化器・腎臓内科学), 千葉 哲博(千葉大大学院・消化器・腎臓内科学), 金井 文彦(千葉大大学院・消化器・腎臓内科学), 横須賀 收(千葉大大学院・消化器・腎臓内科学)
抄録 【背景】「肝癌治療ガイドライン(第2版)」において「TACE不応の定義」が定められている.「TACE不応」と判定された腫瘍数1~3個で腫瘍径3cm超,または腫瘍数4個以上の肝細胞癌(以下intermediate stage)症例に対しては,分子標的治療薬導入が提唱されている.【目的】「TACE不応症例」におけるintermediate stageでのソラフェニブ導入の有効性を検証した.【方法】2002年1月から2011年12月までの10年間に,1) intermediate stage,2) Child-Pugh score 7点以下,の肝細胞癌に対してTACEを施行した263症例を対象とし「肝癌治療ガイドライン(第2版)」に基づき「TACE不応」の判定を行った.「TACE不応」時点でintermediate stageであった症例のソラフェニブ導入の有効性をレトロスペクティブに解析した.【結果】経過観察期間中124例が「TACE不応」と判定された.「TACE不応」までのTACE回数は2回(中央値),初回TACEから「TACE不応」と判定されるまでの期間は12ヶ月(中央値)であった.「TACE不応」時点での患者背景は,年齢 71歳(中央値),男/女 95/29,HCV/HBV/HBV+HCV/アルコール 85/12/2/11,C-P 5/6/7/8以上 65/31/18/13,18例に脈管侵襲を認め,32例に肝外転移を認めた.TACE不応時に脈管侵襲または肝外転移を認めた症例,C-P 8点以上除外した59例のうちintermediate stageでソラフェニブを導入された症例は22例(以下S群),TACEを継続した症例は38例(以下T群)であった.「TACE不応」判定日を起算とする病勢制御期間(TTDP: time to disease progression; CP-Cまで肝機能が悪化,または肝外病変/脈管侵襲出現までの期間と定義)はS群 25.4M,T群 8.6M(P=0.0012),全生存期間はS群 27.8M,T群 14.8M(P=0.0007)であり,いずれもS群で有意に長かった.【結語】TACE不応症例におけるintermediate stageでのソラフェニブ導入の有効性が示唆された.
索引用語 ソラフェニブ, TACE不応