セッション情報 ポスターセッション(肝臓学会)

原発性肝癌-局所治療6

タイトル 肝P-384:

長期予後を目標とした進行肝細胞癌に対するIVRを中心とした治療の検討

演者 永松 洋明(公立八女総合病院・肝臓内科)
共同演者 出口 章広(公立八女総合病院・肝臓内科), 平井 真吾(公立八女総合病院・肝臓内科), 城野 智毅(公立八女総合病院・肝臓内科), 筒井 りな(公立八女総合病院・肝臓内科), 鳥村 拓司(久留米大・消化器内科), 佐田 通夫(久留米大・消化器内科)
抄録 【目的】多数の肝内転移を有する肝細胞癌(HCC),脈管侵襲を有するHCCに対して当院ではIVRを中心とした治療を行っている.当院の治療成績から, 長期予後を目標としたStage別肝細胞癌の治療方針についてretrospecyiveに検討した.【対象】2003年6月から2012年12月の期間当院にてIVR治療を行った進行肝細胞癌症例425例(Child Pugh A/B/C:225/152/48,Stage II+ III/IV-A/IV-B:264/140/21例)を対象とした.【方法】425例全体の累積生存期間(OS)をKaplan-Meier法で示した.次にStage別にCox testを用いて累積生存率に関する多変量解析を行い,予後に関与する因子を検出した.Stage IIIではTACE:98例,肝動注化学療法(HAIC):79例,短期HAIC+TACE:87例をそれぞれ治療A,B,Cとし,治療法別にOSを検出し,Log Rank検定で比較した.Stage IV-AではHAICのregimen(LFP:38例,NFP:93例)別にOSを比較検討し,さらに予後延長を目標とした治療方針を検討した.【結果】HCC425例のOS中央値(MST)は21か月であった.Stage III症例においてOSに関与する因子は,治療前AFP-L3分画陽性のみであった(P=0.001).治療法別(A/B/C)のMSTは,症例全体とL3陽性症例においてそれぞれ26/14/29か月(P<0.001),16/18/29か月(P=0.008)であった.Stage IV-A症例において予後に関与する因子は治療後cancer free(P=0.001)であった(肝切除が可能となった症例は9例).Regimen別MSTはLFP/NFP:14/23か月(P=0.004),cancer free有無別のMSTは有/無:44/10か月(P<0.001)であった.【結論】予後を延長させるためにStage III症例では,AFP-L3陽性症例に対して短期HAICを組み合わせたTACEが優れていた.Stage IV-A症例では動注効果が得られた後,肝切除などによりcancer freeへ導くことが重要である.RegimenではNFPが奏効率も高く(73%),肝切除可能となった症例も全例NFPであった.Stage IV-A症例においてはNFPを中心とした治療が予後を改善すると考えられた.
索引用語 進行肝細胞癌, IVR治療