セッション情報 ポスターセッション(肝臓学会)

原発性肝癌-局所治療6

タイトル 肝P-386:

高齢者の肝細胞癌に対するRFAの安全性と有用性について

演者 永井 一正(手稲渓仁会病院・消化器病センター)
共同演者 辻 邦彦(手稲渓仁会病院・消化器病センター), 山崎 大(手稲渓仁会病院・消化器病センター), 姜 貞憲(手稲渓仁会病院・消化器病センター), 桜井 康雄(手稲渓仁会病院・消化器病センター), 児玉 芳尚(手稲渓仁会病院・消化器病センター)
抄録 【目的】HCCの初発年齢は高齢化が進み,高齢者に対する治療機会は年々増加している.今回,高齢者のHCCに対するRFAの治療成績について報告する.【対象】1999年から2012年までに当科でRFAを施行したHCC1223例1947病変中,初回治療にRFAを施行した初発HCC335例.stage別の治療では肝癌が予後規定因子である場合,高齢者でも非高齢者と同様に根治的治療が選択された.【検討項目】75歳未満を非高齢者,75歳以上を高齢者と定義し,1.患者背景,2.合併症,3.RFA後の在院日数,4.5年生存率,5.死因,6.無再発生存期間について比較検討した.【結果】1.非高齢者は232例で平均年齢は63±7.3歳,高齢者は103例で平均79±3.3歳であった.男女比は167:65vs56:47と高齢者で有意に女性が多く(p=0.002),PSは2以上が7/232(3%)vs22/103(21%)(p<0.001),全身疾患の合併率は102/232(44%)vs81/103(79%)(p<0.001)と高齢者でPSが低く合併疾患を有する例が有意に多く認められた.成因はHBVが67/232(18%)vs8/103(8%)で,HCVが117/232(58%)vs65/103(63%),アルコール性が42/232(18%)vs7/103(7%)と非高齢者はHBVやアルコール起因が多く,高齢者はHCV起因が有意に多く認められた(p=0.001).なお,両群で肝予備能とHCCの進行度に差はみられなかった.2.RFAの合併症の頻度に非高齢者10/232(4.3%)と高齢者4/103(3.9%)の間で差はみられず,重篤な合併症もなく,RFAは高齢者でも安全に施行可能であった.3.治療後在院日数も非高齢者5.7日,高齢者4.8日と差はなく,高齢者に対してもRFAは非侵襲的であった.4.5年生存率は非高齢者60.9%,高齢者67.3%と両群に有意差は認めなかった.5.死因は非高齢者と高齢者で肝関連死は71/83(85%)vs12/29(43%),他病死は12/83(15%)vs17/29(57%)と高齢者で他病死の割合が多かった(p<0.001). 6.無再発生存期間については,非高齢者で平均34.4ヶ月,高齢者で平均34.6ヶ月と差を認めなかった.【結語】RFAは高齢者のHCCに対する非侵襲的な安全で確実な治療法と思われた.
索引用語 肝癌, RFA