セッション情報 ポスターセッション(肝臓学会)

原発性肝癌-局所治療6

タイトル 肝P-387:

3cm以下単発肝癌における遠隔転移の検討

演者 重松 宏尚(北九州市立医療センター・内科)
共同演者 小野原 伸也(北九州市立医療センター・内科), 河野 聡(北九州市立医療センター・内科), 三木 幸一郎(北九州市立医療センター・内科), 丸山 俊博(北九州市立医療センター・内科), 下田 慎治(九州大・病態修復内科)
抄録 【目的】3cm以下単発肝癌における遠隔転移の出現頻度と危険因子の検討.【方法】対象は2010年12月末までに当科で初回治療を行った3cm以下単発肝癌300例.患者背景は,男/女187/113例,年齢68(39-85) 歳,ウイルスマーカーはHCV/HBV/NBNC/HBV+HCVが219/41/37/3例,Child分類はA/Bが242/58例,腫瘍径20.0(10-30)mm,AFP値18.5(1.1-12228),DCP値27(6-13055),治療法は切除/RFA/PEIT/TACEが76/102/59/63例,観察期間56.7(5.5-211)ヶ月.遠隔転移出現率をKaplan-Meier法で比較し,遠隔転移に寄与する因子をCox比例ハザード解析で検討した.【成績】経過観察中に42例(14%)に遠隔転移を認めた.遠隔転移の部位は(重複あり),肺/骨/リンパ節/副腎/腹膜/脳が24/10/9/5/5/1例.12例(28.5%)で重複臓器に遠隔転移を認めた.遠隔転移に対する治療法は,放射線療法/全身化学療法/保存的治療が14/8/20例であった.遠隔転移出現後の累積生存率は6ヶ月/1年/2年で42/33/12%.遠隔転移出現時の肝予備能良好な症例(ChildAvsB;P=0.005),肝内病変が早期な症例(T1+T2vsT3+T4;P=0.05)で有意に生存率が良好であった.累積遠隔転移出現率は3/5/7年で7/12/20%であった.初回治療法別の遠隔転移出現頻度は,切除/RFA/PEI/TACEが14.5/11.7/15.3/15.9%と有意差なく,累積遠隔転移出現率も治療法群間で有意差を認めなかった.遠隔転移出現に寄与する因子は,多変量解析で2年以内に初回再発あり(P<0.0001),3年以内に4個以上の多発再発あり(P<0.0001),初回治療時AFP200ng/ml以上(P=0.02)の3因子であった.【結語】3cm以下単発肝癌症例において,AFP高値例と初回再発までの期間・多発再発までの期間の短い症例では,その後の遠隔転移の出現を考慮した経過観察が必要である.
索引用語 肝癌, 遠隔転移