セッション情報 ポスターセッション(肝臓学会)

原発性肝癌-分子標的治療4

タイトル 肝P-389:

肝動脈塞栓術とソラフェニブの併用療法の有効性

演者 大木 隆正(三井記念病院・消化器内科)
共同演者 山田 友春(三井記念病院・消化器内科), 山上 まり(三井記念病院・消化器内科), 山本 康英(三井記念病院・消化器内科), 佐藤 公紀(三井記念病院・消化器内科), 藤原 弘明(三井記念病院・消化器内科), 大賀 貴文(三井記念病院・消化器内科), 小島 健太郎(三井記念病院・消化器内科), 有住 俊彦(三井記念病院・消化器内科), 関 道治(三井記念病院・消化器内科), 戸田 信夫(三井記念病院・消化器内科), 田川 一海(三井記念病院・消化器内科)
抄録 【目的】進行肝細胞癌(HCC)患者における肝動脈化学塞栓療法(TACE)とソラフェニブ併用療法の安全性および有効性について検討する.【方法】2009年6月~2012年6月の間にTACEを施行されたHCC患者78例を対象とした.ソラフェニブ併用群(S-TACE)は15例,TACE単独治療群(TACE-alone)は63例であった.ソラフェニブはTACE終了後,全例2週間以内に開始された.両群の無増悪期間を比較検討するとともに,無増悪期間の延長に寄与する因子に関しても検討を行った.【結果】男性60例(76.9%),平均年齢は71.4歳であった.平均腫瘍径は,S-TACE群29.5 mm,TACE-alone群30.1 mmと有意差を認めなかったが(P = 0.91),平均腫瘍数は,S-TACE群20.9個,TACE-alone群7.8個と有意差を認めた(P<0.01).また前治療歴に関しては,過去のTACE歴が,S-TACE群2.9回,TACE-alone群1.3回,過去のラジオ波治療歴が,S-TACE群3.3回,TACE-alone群1.9回と,ともに有意差を認めた(それぞれ,P<0.01,P = 0.04).その他,肝機能,血液生化学所見,腫瘍マーカーの値に関しては,両群で有意差を認めなかった.無増悪期間の中央値は,S-TACE群176日,TACE-alone群114日と有意差を認めた(P = 0.04).無増悪期間に寄与する因子に関して,Cox比例ハザード単変量解析で有意な因子を用いて多変量解析を行ったところ,ソラフェニブの併用(HR 1.96,P = 0.03),腫瘍径(per 10 mm HR1.31,P<0.01),GPT (per 10 IU/l HR1.04,P<0.01)が独立した有意な因子として抽出された.【結論】TACEとソラフェニブの併用は,TACE単独治療に比べて無増悪期間を有意に延長した.症例の蓄積とより長期の経過観察が必要である.
索引用語 ソラフェニブ, 肝動脈塞栓術