セッション情報 | ポスターセッション(肝臓学会)原発性肝癌-分子標的治療4 |
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タイトル | 肝P-392:進行肝癌治療選択の標準化は可能か:ソラフェニブ適正使用指針後の検討から |
演者 | 守屋 圭(奈良県立医大・消化器・内分泌代謝内科) |
共同演者 | 吉治 仁志(奈良県立医大・消化器・内分泌代謝内科), 堂原 彰敏(奈良県立医大・消化器・内分泌代謝内科), 野口 隆一(奈良県立医大・消化器・内分泌代謝内科), 浪崎 正(奈良県立医大・消化器・内分泌代謝内科), 北出 光輝(奈良県立医大・消化器・内分泌代謝内科), 相原 洋祐(奈良県立医大・消化器・内分泌代謝内科), 山尾 純一(奈良県立医大・中央内視鏡・超音波部), 藤本 正男(奈良県立医大・消化器・内分泌代謝内科), 美登路 昭(奈良県立医大・消化器・内分泌代謝内科), 豊原 眞久(奈良県立医大・消化器・内分泌代謝内科), 吉田 太之(奈良県立医大・消化器・内分泌代謝内科), 沢井 正佳(奈良県立医大・消化器・内分泌代謝内科), 森岡 千恵(奈良県立医大・消化器・内分泌代謝内科), 上嶋 昌和(奈良県立医大・消化器・内分泌代謝内科), 植村 正人(奈良県立医大・消化器・内分泌代謝内科), 福井 博(奈良県立医大・消化器・内分泌代謝内科) |
抄録 | 【目的】ソラフェニブ(SORA)が進行肝細胞癌(aHCC) に対して大規模臨床試験で生存期間(OS) の有意な延長を示した一方で,わが国では肝動注化学療法(HAIC)が広く施行されてきたが,有意なOS延長を示した報告は殆どなく,今後HAICとSORAの治療選択標準化が望まれる.そこで近年の当科におけるHAIC/SORAの治療選択と成績を分析し,aHCCの集学的治療のあり方を検討した.【方法】SORA適正使用指針作成後に当科で診断し,HAICまたはSORAを施行したaHCC 72例を対象として,治療成績,合併症,予後等につき比較検討した.【成績】aHCCの治療法はHAIC 38例(M30/F8,70歳),SORA 34例(M25/F9,73歳)で,先行治療の有無ではHAIC先行例が有意に多かった.HAICの平均生存期間(MST)中央値(日) は456で,SORAの279より有意に延長しており,Child A例ではさらに顕著であった(HAIC/SORA: 567/266).また,約2/3の症例ではHAIC前後におけるChildスコアが不変で,2点以上の増悪例は1例のみ(8%)であった.次に脈管浸潤(V)の有無では,HAICのMSTはV (+) 615/V (-) 440で有意差はないが,SORAではV (+) 175がV (-) 293に比べ短縮していた.またSORAでは遠隔転移(M)の有無で比較してもM1のMSTは209とM0の312に比べ短かった.中止理由はHAICで腫瘍増大 (PD) が80%と最多で,SORAでは投薬に絡む有害事象 (56%)が過半であった.【結論】aHCCの治療で,HAICは脈管浸潤例においても肝予備能を低下させることなく奏効する可能性がある.一方,SORAは一部の症例で長期生存が見込まれるものの,単独ではHAICよりも治療延命効果が弱い可能性が示唆された.そのためaHCCに対しては,肝予備能低下などによりSORA投与が困難になる可能性を過剰に意識せず,HAICを先行治療として考慮すべきであると考えられた. |
索引用語 | 分子標的治療薬, 肝動注療法 |