セッション情報 ポスターセッション(肝臓学会)

原発性肝癌-分子標的治療5・局所治療7

タイトル 肝P-396:

脈管浸潤を伴う進行肝細胞癌に対する放射線治療を含む治療戦略

演者 谷 丈二(香川大附属病院・消化器・神経内科)
共同演者 三好 久昭(香川大附属病院・消化器・神経内科), 野村 貴子(香川大附属病院・消化器・神経内科), 米山 弘人(香川大附属病院・消化器・神経内科), 高口 浩一(香川県立中央病院・肝臓内科), 小川 力(高松赤十字病院・消化器科), 守屋 昭男(三豊総合病院・消化器科), 樋本 尚志(香川大附属病院・総合診療部), 正木 勉(香川大附属病院・消化器・神経内科)
抄録 【目的】当科では2007年より脈管浸潤を伴う進行肝細胞癌に対して,脈管浸潤への放射線治療で50Gy以上の照射の必要性と動注治療と組み合わせで良好な成績を得ているとを報告してきた.今回,脈管浸潤を伴う進行肝細胞癌に対する放射線治療併用肝動注群とソラフェニブ単独群を後ろ向きに検討したため報告する.【対象・方法】2009年1月より2012年12月の間で当院にて肝細胞癌の脈管浸潤に対して放射線治療を終了した12例と香川県分子標的研究会で登録された高度脈管浸潤に対してソラフェニブを投与した11例を対象とした.患者背景は両群とも有意差はなかった.当科の脈管浸潤を伴う肝細胞癌への治療戦略は,リザーバ動注のレジメンをNewFP療法とし,脈管浸潤に対して50Gy以上の照射を行い,奏功例には手術・動注の継続,非奏功例には早期のソラフェニブの導入を行っている.総合評価は加療開始後の最大抗腫瘍効果をm-RECISTにて判定した.【結果】総合評価は,放射線治療併用肝動注群でCR/PR/SD/PD:3/6/3/0で奏効率:75%で腫瘍制御率:100%,ソラフェニブ単独群で0/1/7/3奏効率:9%で腫瘍制御率:72.7%あった.放射線治療による重篤な合併症はみられなかったが肝予備能悪化が2例,肝萎縮が1例認めた.脈管浸潤診断後治療開始からの全生存期間に関しては,放射線治療併用肝動注群がMST:14か月でソラフェニブ単独群はMST:5.3か月と有意に延長していた(P=0.0451).また,放射線治療併用肝動注群では腫瘍マーカーは早期に低下し,肝内腫瘍の制御が可能であった.【結論】放射線治療は,局所制御能に効果的で安全に施行でき,標準的治療のみでは困難な脈管浸潤症例に対して,放射線治療併用肝動注の組み合わせによる集学的治療は内科的治療戦略に重要な役割を担う.
索引用語 放射線治療, 肝動注