セッション情報 ポスターセッション(肝臓学会)

原発性肝癌-分子標的治療5・局所治療7

タイトル 肝P-398:

遠隔転移がない高度門脈腫瘍栓を合併した局所進行肝細胞癌に対する治療法の比較

演者 大岡 美彦(千葉大大学院・消化器・腎臓内科学)
共同演者 金井 文彦(千葉大大学院・消化器・腎臓内科学), 小笠原 定久(千葉大大学院・消化器・腎臓内科学), 元山 天佑(千葉大大学院・消化器・腎臓内科学), 鈴木 英一郎(千葉大大学院・消化器・腎臓内科学), 太和田 暁之(千葉大大学院・消化器・腎臓内科学), 千葉 哲博(千葉大大学院・消化器・腎臓内科学), 横須賀 收(千葉大大学院・消化器・腎臓内科学)
抄録 【背景】高度門脈腫瘍栓合併肝細胞癌は極めて予後不良であり,標準的治療であるソラフェニブの効果も極めて限定的である.ソラフェニブ登場以前より本邦では手術,肝動脈化学塞栓術(TACE),肝動注化学療法(HAIC),放射線療法といった様々な治療が試みられているその優劣については検討が困難であった.【目的】遠隔転移のない高度門脈腫瘍栓合併(Vp3,4)局所進行肝細胞癌に対する治療を標準治療であるソラフェニブによる治療と比較して後ろ向きに検討する.【方法】2000年4月から2012年10月までに当科にて診療した門脈腫瘍栓合併肝細胞癌113例のうちChild-Pugh class AまたはBでVp3以上かつ遠隔転移を伴わない症例44例(内訳:ソラフェニブ単剤8例,TACE22例,HAIC8例,Best supportive care 5例,その他1例)を対象とし,ソラフェニブ単剤群と肝動注化学療法群,TACE群の治療成績を後ろ向きに比較検討した.【結果】ソラフェニブ群,HAIC群,TACE群の生存期間中央値はそれぞれ160日,145日,261日であったが統計学的有意差はみとめなかった.TACE群にのみ3年以上の長期生存例を13.6%(3/22)で認めた.【結語】後ろ向きの検討ではTACEや肝動注化学療法とソラフェニブ単剤による治療成績に差を認めないが,一部のTACE症例に長期生存例を認めた.単施設における症例数は限度があり,エビデンス構築には他施設による前向き研究が必須である.
索引用語 門脈腫瘍栓, 肝細胞癌