セッション情報 ポスターセッション(肝臓学会)

原発性肝癌-その他2

タイトル 肝P-399:

人工腹水下ラジオ波焼灼術後に出現する血清ナトリウム値の低下について

演者 望月 圭(関西労災病院・消化器内科)
共同演者 糸瀬 一陽(関西労災病院・消化器内科), 土居 哲(関西労災病院・消化器内科), 吉水 祥一(関西労災病院・消化器内科), 嶋吉 章紀(関西労災病院・消化器内科), 阿部 佳奈子(関西労災病院・消化器内科), 板倉 史晃(関西労災病院・消化器内科), 小豆澤 秀人(関西労災病院・消化器内科), 戸田 万生良(関西労災病院・消化器内科), 中村 剛之(関西労災病院・消化器内科), 牧野 仁(関西労災病院・消化器内科), 伊藤 善基(関西労災病院・消化器内科), 萩原 秀紀(関西労災病院・消化器内科), 林 紀夫(関西労災病院・消化器内科)
抄録 【目的】経皮的ラジオ波焼灼術による熱損傷を回避するためには,人工腹水を作製する必要がある.基液として5%ブドウ糖液を使用することが多いが電解質への影響に関する検討は少ない.今回人工腹水作製後に生じる血清ナトリウム(Na)値の変化について検討した.【方法】2012年1月から12月の間に当院にてラジオ波焼灼術を施行した症例のうち,術前術後の補液内容が同一であった108例について,術前後で血清Na値を測定し,年齢,人工腹水量,利尿剤投与の有無などの因子との関連について検討した.【成績】人工腹水作製例は42例であった.作製群は非作製群に比べて術後の血清Na濃度が有意に低値であり (作製群 135±17.3 mmol/L; 非作製群 138±8.7 mmol/L; p<0.0003),低下率は有意に高値であった (作製群 5.4±15 mmol/L; 非作製群 2.0±5.9 mmol/L; p<0.000001).また術後4日後においても低下が持続する傾向が認められた.投与した5%ブドウ糖液が1500ml以上の症例ではNa濃度の有意な低下が認められた.著明な低Na血症を呈し強い倦怠感を訴えた症例に対して塩化ナトリウムを経口的に投与したところ,速やかな自覚症状の改善が認められた.【結論】5%ブドウ糖液は安全かつ副作用が少ない人工腹水用基液として使用されているが,術後高頻度に低Na血症が出現するため注意が必要である.術後の自覚症状に影響を及ぼしている可能性があり,定期的なNa濃度の確認と適切な補正が重要であると考えられた.
索引用語 経皮的ラジオ波焼灼術, 低ナトリウム血症