セッション情報 ポスターセッション(肝臓学会)

自己免疫性肝疾患3

タイトル 肝P-403:

肝細胞におけるCK7の発現はPBCの予後予測に有用である

演者 関 博之(岡山大・消化器・肝臓内科)
共同演者 池田 房雄(岡山大・消化器・肝臓内科), 竹内 康人(岡山大・消化器・肝臓内科), 森藤 由記(岡山大・消化器・肝臓内科), 難波 真太郎(岡山大・消化器・肝臓内科), 安中 哲也(岡山大・消化器・肝臓内科), 三宅 康広(岡山大・消化器・肝臓内科), 高木 章乃夫(岡山大・消化器・肝臓内科), 岩崎 良章(岡山大保健管理センター), 山本 和秀(岡山大・消化器・肝臓内科)
抄録 背景:PBC症例の大半は非常に緩徐な進行であるが,一部に急速に肝不全へと進行する予後不良例が存在する.しかし,この予後不良例を診断時に鑑別するのは難しく,血清GP210等の指標が提唱されているが未だ明確な指標はない.目的:PBC患者の予後の進展形式として診療ガイドラインでは黄疸や門脈圧亢進症が関わる3つの進展型が示され,黄疸先行型が予後不良とされている.そこで今回我々は,以前から着目している肝細胞内CK7発現の評価法が将来の黄疸出現例の早期発見に有用かどうかを検討した.対象と方法: 1980年11月から2012年9月までの間に当院で肝生検が行われPBCと診断された患者のうち,診断時に黄疸や門脈圧亢進の症候を認めなかった症例(無症候例)を対象とした.対象のうち黄疸が出現した症例の殆どが診断後10年以内に黄疸が出現していたため,無症候例を10年以内に黄疸が出現した6例と10年以上黄疸が出現しなかった39例に分けて比較検討を行った.検討項目は診断時の年齢,性別,血液検査(PLT,AST,ALT,ALP,γ-GT,LDH,T-Bil,IgM,AMA),PBCガイドラインの組織評価(CA,HA,線維化,胆管消失,オルセイン顆粒沈着)と肝細胞内CK7発現の評価(CK7発現陽性肝細胞を認めないか門脈域周囲に数個までの低grade群と,CK7発現陽性肝細胞を多数認める高grade群)とした.結果:検討項目のうち,黄疸出現と有意に関連した項目は組織評価の胆管消失(P=0.028)と肝細胞内CK7発現(P=0.008)のみであり,いずれも高スコア,高grade群で黄疸出現例が有意に多かった.また胆管消失の高スコア群に有意に肝細胞内CK7発現高grade群が多かった(P=0.0021).その他の項目はいずれも黄疸出現と有意差を認めなかった.結論:胆管消失の評価は診断医によりスコアが大きく変わることも多いため,肝細胞内CK7発現の評価を加える事で,より正確に黄疸出現例を早期発見できる可能性があると思われた.
索引用語 原発性胆汁性肝硬変, 予後予測