セッション情報 ポスターセッション(肝臓学会)

自己免疫性肝疾患3

タイトル 肝P-406:

PBCにおける合併症予測因子に関する検討

演者 藤永 幸久(県立奈良病院・消化器内科)
共同演者 中谷 敏也(県立奈良病院・消化器内科), 才川 宗一郎(県立奈良病院・消化器内科), 澤田 保彦(県立奈良病院・消化器内科), 神戸 大介(県立奈良病院・消化器内科), 永松 晋作(県立奈良病院・消化器内科), 下里 直隆(県立奈良病院・消化器内科), 松尾 英城(県立奈良病院・消化器内科), 菊池 英亮(県立奈良病院・消化器内科)
抄録 【目的】原発性胆汁性肝硬変(PBC)の予後は門脈圧亢進症(PH)や肝細胞癌(HCC)などの合併症に規定され,予測因子として抗gp210抗体,抗セントロメア抗体等が知られているが,一般診療で全例測定することは困難である.今回,我々は日常診療で追跡可能な検査項目を用いて合併症予測について検討した.【方法】対象は1994年から2012年までに組織学的・臨床的にPBCと診断した32例(女性28/男性4,平均年齢57.8歳,観察期間中央値9年3.5カ月).肝生検施行は21例で,Scheuer 1/2/3/4期が,8/8/5/0例.治療はUDCA,ベザフィブラートを用い,ALT・胆道系酵素・T.Bil・Pltの経時的推移と合併症(HCC,PH:胃食道静脈瘤・GAVE・PHG)の関係について検討した.【結果】ALT,ALP,γ-GTP(治療前/3ヶ月後)は76.3±92.3/32.8±21.2 IU/l,702.8±375.9/451.6±197.8 IU/l,274.2±219.7/92.5±69.1 IU/lであり各項目で有意に低下したが(P<0.01),T.Bil・Pltは治療前後で有意な変化を認めなかった.合併症(計6例)は,HCC 2例,PH6例(胃食道静脈瘤/GVAE/PHG:4/1/1)(重複あり)であった.単変量解析により合併症発現に寄与する因子として,治療1年後のALT・T.Bil・ALP・γ-GTPが高値であることが抽出された.次に診断時Plt値を15万以上(A群)と15万未満(B群)に分類し,6ヵ月後の死亡確率を日本肝移植適応研究会の予後予測式により両群で比較すると,B群では治療開始3年後より有意に上昇していた(P<0.05).また,合併症出現率(A群/B群)は13%(3/24)/ 38%(3/8)とB群で多かった.A群における有合併症例3例をみると,診断時Plt値は正常であるが治療後のPlt低下が全例5万以上であった.以上より,診断時Plt値が低値あるいは,治療後のPlt低下が大きいことは合併症発現に寄与する可能性が示唆された. 【結論】PBCにおいて治療1年後の肝機能,診断時のPlt値および治療後Plt低下はその後の合併症発現の予測因子の一つとなりうることが示唆された.
索引用語 原発性胆汁性肝硬変, 合併症