セッション情報 ポスターセッション(肝臓学会)

自己免疫性肝疾患4

タイトル 肝P-408:

自己免疫性肝疾患における血清内microRNAの発現を解析することで病因解明できる可能性がある

演者 二宮 匡史(東北大病院・消化器内科)
共同演者 近藤 泰輝(東北大病院・消化器内科), 小暮 高之(東北大病院・消化器内科), 嘉数 英二(東北大病院・消化器内科), 木村 修(東北大病院・消化器内科), 諸沢 樹(東北大病院・消化器内科), 岩田 朋晃(東北大病院・消化器内科), 下瀬川 徹(東北大病院・消化器内科)
抄録 【目的】我々はこれまで,原発性胆汁性肝硬変患者(PBC)の血清内miRNAプロファイリングを行い,4種のmiR-505-3p,miR-197-3p,miR-500a-3p,miR-139-5pの発現が低下していることを見いだした(論文投稿中).今回,我々は自己免疫性肝炎患者(AIH)症例にて,miRNAの発現パターンをクラスタリングした.【方法】PBC症例10例,AIH症例10例,対照としてB,C型肝炎(CH-B,C)をそれぞれ5例,健常者5例で検討.1) TruSeq Small RNA Sample Preparationにて,ライブラリーを作成し,Genome Analyzer IIxにてmiRNAの発現数を解析.ヒットしたリード数を集計,サンプル毎の総リード数で正規化し,発現量を計算.5群で発現量に差のあったmiRNAをANOVA(p<0.05)で抽出し,多重検定(F<0.1)を行い,クラスタリングし,ヒートマップを作成した.2)Internal controlとして,血清内にcel-miR-39をSpiked-inした.定量的RT- PCRを行い,発現量に差のある特異的なmiRNAを定量.ΔΔCt法にて,計算し相対定量を行った.【成績】1)1検体あたり平均1100万リード,miRBaseへのマッピング率は平均15%になった.1594個のmiRNAのうち有意差のついたmiRNAの発現パターンをクラスタリングしてヒートマップを作成した.PBC群は概ねクラスターを形成したが,自己抗体(ANA)強陽性のPBC-10はAIH群と区別つかなかった.AIH群はAIH群としてクラスターを形成するもの,B,C肝炎群に属してしまうのと明確なクラスターを形成しなかった.また,B型肝炎の既往感染のある,PBC-6はCH-B群に近接した.2) miR-941とmiR-1280がAIHにおいて有意に発現量が低下していた.また,CH-B群で有意に発現量が増加しているmiR-125-5pはPBC-6において同様に発現量の増加が認められた.【考案】AIH患者では,血清内のmiR-941とmiR-1280の発現量が低下していることが示された.PBCとoverlapする群,ウイルス性肝炎に近接する群があり,AIHが単一の疾患ではないことが示唆された.
索引用語 自己免疫性肝炎, microRNA