セッション情報 | ポスターセッション(肝臓学会)自己免疫性肝疾患4 |
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タイトル | 肝P-409:自己免疫性の急性肝不全症例:全国調査の集計例から見た診断基準の検討 |
演者 | 内田 義人(埼玉医大病院・消化器内科・肝臓内科) |
共同演者 | 中山 伸朗(埼玉医大病院・消化器内科・肝臓内科), 持田 智(埼玉医大病院・消化器内科・肝臓内科) |
抄録 | 【目的】劇症肝炎症例を対象に自己組織化マップ(SOM)法でクラスタリングすると,自己免疫性症例の大部分は薬物性および成因不明の症例と同じクラスターに分類される.一方,自己免疫性肝炎の診断では,IgG濃度の基準を2,000 mg/dLから正常上限の1.1倍に変更することが検討されている.この変更が急性肝不全の成因診断に及ぼす影響を検討した. 【方法】対象は厚労省研究班の全国調査に登録された2010~11年発症の急性肝不全491例とLOHF 17例.自己免疫性症例の臨床所見を薬物性および成因不明の症例と比較し,うち昏睡型症例をSOM法のクラスターを予測する決定木で分類した. 【成績】AIHは47例(9%)で年齢は平均59歳(男:女=16:28),昏睡例のうち急性型は14%であった.IgGは2,000 mg/dL以上が64%,抗核抗体陽性は90%で,両基準を満たさない症例は存在しなかった.薬物性のうち肝炎症例は52例(10%)で47歳(23:29),急性型は41%であった.IgGは1,870~2,000 mg/dLが0%,2,000 mg以上が13%,抗核抗体陽性は60%で,診断基準を満たす症例は60%から変更で67%になった.成因不明例は144例(28%),47歳(83:61),急性型は45%であった.IgGは夫々4%と10%,抗核抗体陽性が66%で,基準を満たす症例は68%から69%になった.なお,成因不明で新たな診断基準を満たす症例はAIH症例に比して男性が多く(54:46),若年(48歳)で,急性型が高率であった(45%).また,AIH,薬物性が多く含まれるクラスターには,AIHの88%,薬物性の61%が分類されたが,成因不明例のうち変更後に基準を満たす症例では31%と低率であった. 【考案と結語】自己免疫性肝炎の診断に際するIgG濃度の基準を変更しても,今まで自己免疫性と診断された症例の位置付けは不変であり,また,薬物性ないし成因不明を診断された症例で基準を満たす症例の比率にも大差は見られなかった.しかし,成因不明例で自己免疫性肝炎の基準を満たす症例は,自己免疫性症例と病態が異なっている可能性があり,診断基準に従った自動的な診断は問題があると考えられた. |
索引用語 | 自己免疫性肝炎, 急性肝不全 |