セッション情報 | ポスターセッション(肝臓学会)自己免疫性肝疾患4 |
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タイトル | 肝P-410:自己免疫性肝炎診断における腹腔鏡検査―非アルコール性脂肪肝疾患との比較 |
演者 | 板倉 潤(武蔵野赤十字病院・消化器科) |
共同演者 | 黒崎 雅之(武蔵野赤十字病院・消化器科), 松田 秀哉(武蔵野赤十字病院・消化器科), 村岡 優(武蔵野赤十字病院・消化器科), 中田 徹(武蔵野赤十字病院・消化器科), 鈴木 雄一朗(武蔵野赤十字病院・消化器科), 鈴木 祥子(武蔵野赤十字病院・消化器科), 西村 貴士(武蔵野赤十字病院・消化器科), 玉城 信治(武蔵野赤十字病院・消化器科), 安井 豊(武蔵野赤十字病院・消化器科), 細川 貴範(武蔵野赤十字病院・消化器科), 上田 研(武蔵野赤十字病院・消化器科), 中西 裕之(武蔵野赤十字病院・消化器科), 土谷 薫(武蔵野赤十字病院・消化器科), 高橋 有香(武蔵野赤十字病院・消化器科), 泉 並木(武蔵野赤十字病院・消化器科) |
抄録 | 【目的】糖尿病合併など自己免疫性肝炎(AIH)と非アルコール性脂肪性肝機能障害(NAFLD)との鑑別が必要なことがある.AIH診断における腹腔鏡検査の有用性,特にNAFLDとの鑑別について検討を行った.【方法】2009年から2012年にかけて当院でAIHと診断した20例,同時期に腹腔鏡検査を行い抗核抗体が40倍以上で組織学的にNAFLDと診断した11例と比較検討を行った.【結果】AIH症例は男女比7対13,診断時の平均年齢56.8±12.1歳,AST245±257IU/L,ALT333±366IU/l,IgG2178±521mg/dl,抗核抗体40倍20%,80倍35%,160倍20%,320倍以上25%,Simplified Criteriaは7.5±0.74点だった.腹腔鏡検査で溝状陥凹を60%,広汎陥凹を45%に認め,合計70%の症例で溝状または広汎陥凹を認めた.いずれも認めなかった6例(30%)は組織学的な線維化進展が軽度だった.組織学的診断は腹腔鏡の線維化ステージ分類より線維化進行を軽度に判定する傾向であった.NAFLD症例の1例で溝状・広汎陥凹を認め,AIH診断における陥凹のPPVは93%,NPVは63%だった.糖尿病などの合併のためNAFLDとの鑑別が必要だったAIH例(AIH>NAFLD症例)は6例(30%),IgG低値だが組織学的にAIHと診断した症例(低IgG-AIH症例)は4例(20%)だった.抗核抗体陽性NAFLD症例にくらべ,AIH>NAFLD例はIgG値が,低IgG-AIH例はALT値が有意に高値だった(p<0.05).AIH>NAFLD例,低IgG-AIH例の全例で溝状または広汎陥凹を認め,AIH>NAFLD例,低IgG-AIH例,NAFLD例における溝状・広汎陥凹のAIH診断PPVは91%,NPV100%だった.【結論】腹腔鏡検査は肝臓全体を観察可能で,組織学的検査のサンプリングエラーを補完でき,線維化進展度を正確に評価できる.近年NAFLD症例は増加しており,AIHと臨床上鑑別困難なことがあり,AIHとNAFLDの鑑別において腹腔鏡検査は有用と考えられた. |
索引用語 | 自己免疫性肝炎, 腹腔鏡 |