セッション情報 | ポスターセッション(肝臓学会)自己免疫性肝疾患4 |
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タイトル | 肝P-411:自己免疫性肝炎における発癌 |
演者 | 有永 照子(久留米大・消化器内科) |
共同演者 | 井出 達也(久留米大・消化器内科), 宮島 一郎(久留米大・消化器内科), 緒方 啓(久留米大・消化器内科), 桑原 礼一郎(久留米大・消化器内科), 天野 恵介(久留米大・消化器内科), 鳥村 拓司(久留米大・消化器内科DELIMITER久留米大先端癌治療研究センター), 佐田 通夫(久留米大・消化器内科) |
抄録 | 【目的】関節リウマチやSLEなどの自己免疫疾患では,癌の発症リスクが高いと報告されている.その背景として免疫学的異常にもとづくもの,免疫抑制剤などの治療によるもの,あるいは慢性的な炎症によるものなどが考えられる.今回,当科の自己免疫性肝炎(AIH)における発癌状況を肝癌も含めて検討した. 【方法】当科及び関連病院で診断されたAIH 205例(診断時平均年齢56.8歳,F:M=182:23)を対象とした.発癌率,発癌時期,年齢,性,AIH score,TB,ALT,IgG,血小板数,BMI,糖尿病・脂肪肝・肝硬変・HBc抗体の有無,自己免疫性疾患合併の有無,AIHに対する治療内容を調査検討した. 【成績】発癌は23例(11.2%)にみられた.F:M=19:4.AIH発症から発癌までの平均観察期間は97.9月.うち3例はAIH発症前に発癌がみられた.癌の内訳は,肝・胆道系9例(肝細胞癌 8例),胃癌3例,膵癌3例,肺癌2例,口腔癌1例,舌癌1例,下咽頭癌1例,大腸癌1例,乳癌1例,副腎癌1例,急性骨髄性白血病1例,悪性リンパ腫1例であった.多重癌が4例にみられた. 治療内容による発癌率をみると,プレドニゾロン(PSL)治療歴ある163例中19例(11.7%),アザチオプリン(AZA)治療歴ある50例中7例(14.0%),共に治療歴なし36例からは3例(8.3%)であった.癌の有無において背景を比較検討すると,肝細胞癌(HCC)に関してはALT値が高い,血小板数が少ない,糖尿病の合併,肝硬変である,が有意な因子であった.一方,HCC以外の癌に関しては,観察期間が長い,血小板数が少ない,再燃歴あり,が有意な因子であった.いずれもPSL治療歴やAZA治療歴には有意差がなかった. 【結論】AIHにおける発癌は11.2%(HCC 3.9%)にみられた.AIHの長期治療症例に対しては発癌のリスクを念頭に注意深く観察する必要がある. |
索引用語 | 自己免疫性肝炎, 発癌 |