セッション情報 ポスターセッション(消化器外科学会)

食道・咽頭-手術治療 1

タイトル 外P-1:

POEMは難治性逆流性食道炎併発の予防のために, 噴門形成術の追加を必要とするか?

演者 塩飽 洋生(福岡大・外科)
共同演者 山下 兼史(福岡大・外科), 別府 理智子(福岡大・外科), 大宮 俊啓(福岡大・外科), 中島 亮(福岡大・外科), 山名 一平(福岡大・外科), 槙 研二(福岡大・外科), 武野 慎祐(福岡大・外科), 佐々木 隆光(福岡大・外科), 星野 誠一郎(福岡大・外科), 二村 聡(福岡大・病理学), 井上 晴洋(昭和大横浜市北部病院・消化器センター), 山下 裕一(福岡大・外科)
抄録 【はじめに】食道アカラシアに対する根治治療はHeller筋層切開術と経口内視鏡的筋層切開術(Per-Oral Endoscopic Myotomy:POEM)である.Heller筋層切開術では, 高い治療効果が得られる半面, 術後に難治性の逆流性食道炎を併発するために, 噴門形成術の追加が行われてきた. 一方POEMでは, 解剖学的にHis角を温存できるため, 術後の難治性逆流性食道炎の併発が少ないと考えられている. 今回,我々は2011年9月から2013年2月の間に施行したPOEM27例のうち, 3か月以上経過した症例における逆流性食道炎の併発の有無について検討したので報告する.【方法】2011年9月から2012月3月までに30例のPOEMを施行した.POEMは井上らの報告に従って行った. そのうち3か月以上経過した11症例に対し, Eckgardtスコアによる症状の評価と上部消化管内視鏡検査, 24時間pHモニタリング検査を施行した.【結果】男女比:2:9,平均年齢 : 48.3歳(26-79), びまん性食道痙攣症:1例, 食道アカラシア(直線型):10例であった.全筋層切開長は15.6cm(7-26 ),胃側の筋層切開長は2.6cm(1-5cm)であった.3人に内視鏡的バルーン拡張術が施行されていた.逆流性食道炎に関しては,24時間pHモニタリング検査にてpH<4時間(%)が4%以上であったのは3人であった.上部消化管内視鏡検査では,Los Angeles分類でgrade N:7人,grade A:3人,grade B:1人という結果であった. 逆流性食道炎は, 全症例においてプロトンプポンプインヒビターの内服で改善した.【結論】POEM術後の逆流性食道炎発症の頻度は約30%程度で,その程度も軽度なものにとどまっている.今回の検討からは, 難治性逆流性食道炎の予防のため,噴門形成術の追加は不要であると考える.
索引用語 POEM, アカラシア