セッション情報 ポスターセッション(消化器外科学会)

食道・咽頭-手術治療 1

タイトル 外P-2:

高齢者に対する腹腔鏡下逆流防止術の検討

演者 野村 務(日本医大・消化器外科)
共同演者 松谷 毅(日本医大・消化器外科), 萩原 信敏(日本医大・消化器外科), 牧野 浩司(日本医大多摩永山病院・外科), 丸山 弘(日本医大多摩永山病院・外科), 加藤 俊二(日本医大・消化器外科), 藤田 逸郎(日本医大・消化器外科), 金沢 義一(日本医大・消化器外科), 中村 慶春(日本医大・消化器外科), 岩切 勝彦(日本医大千葉北総病院・消化器内科), 川見 典之(日本医大付属病院・消化器内科), 宮下 正夫(日本医大千葉北総病院・外科), 内田 英二(日本医大・消化器外科)
抄録 <目的>腹腔鏡下逆流防止術(LARS)は適応があっても実際に手術を行うか判断に迷うことが多い.とくに高齢者においては慎重に手術の可否を決定する必要がある.当施設にて経験した高齢者食道裂孔ヘルニア手術症例を検討した.<症例>2007年1月から2013年2月までの間に当施設にてLARSを施行された24例(平均年齢61歳)のうち75歳以上の9例(男性5例,女性4例,平均年齢80歳)が対象.食道裂孔ヘルニアの分類ではI型は5例,うち1例は逆流により肺炎を繰り返していた.III型が3例,ヘルニアを認めないPPI抵抗性NERD1例.噴門形成は1例にNissen法,8例はToupetを選択.全例に裂孔縫縮を付加,III型のうち1例にmeshを使用.また肺炎を繰り返す患者には胃瘻も付加.<成績>周術期合併症は認めず,逆流による肺炎症例以外は術後10日以内に退院.噴門形成による軽度の通過障害は全例に認めたが,いずれの患者とも許容範囲内.満足度はIII型の患者で高く,またPPI抵抗性NERD患者では術後逆流回数,symptom indexともに低下,症状も改善.肺炎症例では術後は肺炎を認めず約3カ月後に気管切開孔の閉鎖が可能であった.I型5例のうち4例は満足度がfairからgoodであったが,食道炎所見が軽度であった83歳の男性は満足度が低く術後も愁訴を訴えていた.その後,慢性硬膜下血腫,dementia,depressionの診断を受け,脳外科および神経科にて治療を受けている.<結論>高齢者であっても耐術可能でPSが良好であればLARSを行うことに問題なく,とくに放置することにリスクのあるIII型は術後満足度も高いため積極的に手術すべきと思われた.一方で高齢者特有の疾患の影響もあるため,I型で食道炎の所見がごく軽度の場合はインピーダンス検査などによる逆流の確認も行うべきと考えられた.
索引用語 腹腔鏡下逆流防止術, 高齢者