セッション情報 ポスターセッション(消化器外科学会)

食道・咽頭-手術治療 1

タイトル 外P-4:

食道ブジー挿入にて安全に憩室切除が可能であった咽頭食道憩室(Zenker憩室)の1例

演者 萩原 信敏(日本医大・外科)
共同演者 野村 務(日本医大・外科), 松谷 毅(日本医大・外科), 青木 悠人(日本医大・外科), 加藤 俊二(日本医大・外科), 藤田 逸郎(日本医大・外科), 金沢 義一(日本医大・外科), 小野寺 浩之(日本医大・外科), 篠塚 恵理子(日本医大・外科), 内田 英二(日本医大・外科)
抄録 【はじめに】食道憩室は消化管憩室の中でも発生頻度が低く,咽頭食道憩室(Zenker憩室)は食道憩室のなかでも特に少ないとされる.Zenker憩室の治療に関してはいくつかの方法があるが,本邦では外科的な憩室切除術が最も多く報告されている.憩室切除術において憩室切断の際は憩室壁をできる限り残さず,また残存食道に狭窄をきたさないように憩室を根部で処理することが肝要である.今回,我々は外科的治療の際の憩室切除の工夫として,食道ブジー挿入が有用であったため報告する.【症 例】79歳,男性【主 訴】嚥下障害【現病歴】心房細動,陳旧性脳梗塞などにて他院通院中に嚥下障害を訴え精査を施行,食道後壁より背側へ突出した憩室を認めたため,治療目的にて紹介となった.【各種検査所見】上部内視鏡検査:食道入口部より残渣多量であった.内視鏡をすすめると憩室内に自然に挿入される.本来の食道内腔は憩室により外方から圧排されていた.食道造影検査:頸部食道後壁より背側に突出する最大径5cm程の憩室を認めた.CT検査:咽頭食道後壁に内腔には液体の貯留とガス像を含んだ腫瘤像を認めた.【手術所見・経過】左胸鎖乳突筋内縁に沿った皮膚切開にてアプローチ.広頸筋切離後,周囲臓器を剥離・圧排にて食道壁まで達する.食道壁後壁より圧出された憩室を認め憩室頸部まで十分剥離を行い,輪状咽頭筋切開も付加した.Zenker憩室を開放し食道内腔面を術創から直視にて観察.食道内腔確認および憩室切除後の食道狭窄予防を兼ねて45Frの食道ブジーを憩室切除に先行して事前に挿入した.ブジー挿入下にてリニアステイプラーを用いて狭窄を危惧することなく安全に憩室基部にて切除を行うことが可能であった.術後の食道造影検査にて造影剤の通過は良好であり,嚥下障害も軽快し経過良好にて退院となった.【まとめ】食道ブジー挿入下にて安全に憩室切除が可能であったZenker憩室の1例を経験した.
索引用語 Zenker憩室, 食道憩室