セッション情報 ポスターセッション(消化器外科学会)

食道・咽頭-手術治療 1

タイトル 外P-5:

アカラシアの病態と手術成績に及ぼす性別の影響

演者 坪井 一人(東京慈恵会医大・外科)
共同演者 小村 伸朗(東京慈恵会医大・外科), 矢野 文章(東京慈恵会医大・外科), 星野 真人(東京慈恵会医大・外科), 山本 世怜(東京慈恵会医大・外科), 秋元 俊亮(東京慈恵会医大・外科), 藤崎 宗春(東京慈恵会医大・外科), 高橋 直人(東京慈恵会医大・外科), 中田 浩二(東京慈恵会医大・外科), 柏木 秀幸(東京慈恵会医大・外科), 矢永 勝彦(東京慈恵会医大・外科)
抄録 【背景】アカラシアは下部食道括約筋の弛緩不全によるつかえ感や胸痛を主症状とする一次性食道運動機能障害の代表的疾患であり,中年層に多く性差はない.内視鏡的拡張術や手術療法が有効的治療法であり,現在,腹腔鏡下Heller-Dor手術(LHD法)が標準術式として定着している.これまでに様々な観点から病態や手術成績の検討がなされているが,比較的稀な疾患であるために多数例での報告は少なく,性別の観点から病態や治療成績を論じた検討も少ない.【目的】アカラシアの病態とLHD法の手術成績に及ぼす性別の影響を検討した.【方法】アカラシアに対してLHD法を施行した患者のうち,術後半年以上の観察期間のある380例を対象とした.症例を性別で2群に大別し,術前病態,手術成績,手術前後の症状スコアや手術満足度について比較検討した.症状はつかえ感,胸痛,嘔吐,胸焼けに関してアンケートを実施し,頻度と程度を各々5段階評価した.また満足度も5段階評価した.【成績】男性200例,女性180例であり,平均年齢は44.6歳であった.術前病態は,年齢,病悩期間,術前体重減少,バルーン拡張歴の有無,食道内圧所見および食道拡張型に両群間で差はなかったが,女性で有意にBMIが低値であり(p<0.0001),かつ拡張度は有意に軽度であった(p=0.0129).術前症状は,胸痛の頻度・程度ともに女性が有意に高スコアであったが(各p=0.0307,p=0.0122),その他の症状に差はなかった.手術成績では,手術時間,術中出血量,術中粘膜損傷,術後在院日数,術後逆流性食道炎発生率や酸分泌抑制薬内服率も差を認めなかった.術後各症状は両群とも術前に比較して有意に改善しており,両群間で差はなかった.また満足度に関しても両群ともに高く,同等であった(p=0.9576).【結論】女性アカラシア患者の特徴は,低BMI,拡張度が軽度,胸痛が頻度・程度ともに高いことであった.一方,LHD法の手術成績は性差に関係なく良好であった.
索引用語 アカラシア, 性別