セッション情報 ポスターセッション(消化器外科学会)

食道・咽頭-手術治療 2

タイトル 外P-7:

食道扁平上皮癌術後にSIADHを発症した1例

演者 太和田 昌宏(岐阜県総合医療センター・外科)
共同演者 田中 秀治(岐阜県総合医療センター・外科), 浅井 竜一(岐阜県総合医療センター・外科), 徳丸 剛久(岐阜県総合医療センター・外科), 前田 健一(岐阜県総合医療センター・外科), 木山 茂(岐阜県総合医療センター・外科), 種田 靖久(岐阜県総合医療センター・外科), 田中 千弘(岐阜県総合医療センター・外科), 長尾 成敏(岐阜県総合医療センター・外科), 安村 幹央(岐阜県総合医療センター・外科), 河合 雅彦(岐阜県総合医療センター・外科), 國枝 克行(岐阜県総合医療センター・外科)
抄録 食道扁平上皮癌術後にSIADHを発症した1例を経験したので報告する.症例は69歳,女性.肝酵素上昇のため当院内科にて精査されたところ,上部内視鏡検査にて下部食道癌と診断された.そのため手術目的にて当科紹介され,胸腔鏡下食道亜全摘,後縦郭経路胃管再建,2領域リンパ節郭清を施行した.術後病理組織診にて,低分化型扁平上皮癌と診断された.術後7日目に血中Na 120mEq/Lと著明な低下を認め,血中浸透圧も268mOsm/kgと同様に低下していた.また尿浸透圧727mOsm/kg,尿中Na 81mEq/Lといずれも高値を示していた.腎機能は正常範囲であり,副腎機能も術前コルチゾール17.7μg/dlと基準値内であった.以上の結果と血中ADH 7.9pg/mlと高値であったことから,SIADHと診断した.なお中枢神経症状は認めなかった.よって600~800ml/日の水分制限と,経口摂取を開始していたため食塩内服投与(10g/日)を行ったところ,徐々に低Na血症は改善したため投与食塩量を漸減しつつ,術後6ヶ月で食塩内服投与を終了した.術後6ヶ月で食塩内服投与を終了した.なお血中ADHは3.4pg/mlと正常化し,SIADHの再燃なく経過観察中である.食道小細胞癌によるSIADH発症例や,食道癌に対するシスプラチン投与等の化学療法によるSIADH発症例は散見されるが,食道扁平上皮癌の根治術施行後にSIADHを発症したとの報告例は検索しうる範囲では存在せず,非常に貴重な症例と考えられたため,その発症機序について文献的知見を含めて考察する.
索引用語 食道癌, SIADH