セッション情報 ポスターセッション(消化器外科学会)

食道・咽頭-手術治療 2

タイトル 外P-8:

2次性食道アカラシアの2例

演者 星野 真人(東京慈恵会医大・消化管外科)
共同演者 小村 伸朗(東京慈恵会医大・消化管外科), 矢野 文章(東京慈恵会医大・消化管外科), 坪井 一人(東京慈恵会医大・消化管外科), 山本 世怜(東京慈恵会医大・消化管外科), 秋元 俊亮(東京慈恵会医大・消化管外科), 柏木 秀幸(東京慈恵会医大・外科), 矢永 勝彦(東京慈恵会医大・外科)
抄録 【はじめに】一次性食道アカラシアは食道内圧検査上lower esophageal sphincter (LES)の弛緩不全と食道体部の一次蠕動波の消失を特徴とする食道運動機能障害であるが,悪性腫瘍などにより同様の所見を呈するものを二次性食道アカラシアと呼ぶ.この病態は稀であり,報告例は少ない.今回われわれは,二次性食道アカラシアの2例を経験したので報告する.【症例1】60歳代女性.5年前に他院にて胃癌に対し幽門側胃切除術(B-I再建,D2郭清)を施行されている.StageIIIAであったため,約1年間のTS-1による術後補助化学療法を受けた.6ヶ月間継続するつかえ感を主訴に食道アカラシアが疑われ紹介受診となった.食道運動機能障害を疑いConventional manometryを施行したところ,LESの弛緩不全と食道体部の同期性収縮を認め食道アカラシアと診断した.食道造影では直線型GradeIの所見であったが,狭窄部位が3.5cmと長かった.上部消化管内視鏡検査では,食道・残胃粘膜面に異常なく,超音波内視鏡検査では食道筋層の肥厚を認めた.開腹所見では,食道・胃接合部と横隔膜脚に硬結を触知し,術中迅速病理診断に提出したところ腺癌の診断を得た.残胃全摘と下部食道切除術(Roux-en-Y再建)を施行した.【症例2】40歳代男性.約1ヶ月前の上部消化管造影検査で異常を指摘されなかったが,つかえ感が持続するため当院を紹介受診.食道運動機能障害を疑い,High-resolution manometryを施行したところ,シカゴ分類上type 3食道アカラシアと診断した.食道造影では直線型GradeIの所見であった.以上の所見より腹腔鏡下手術を開始したが,胃壁伸展不良と多数の腹膜播種病変を認め,術中迅速病理診断で腺癌の診断を得た.審査腹腔鏡のみで手術終了とした.【結語】食道内圧検査において食道アカラシアの診断を得ても,常に二次性食道アカラシアを念頭におき診療に当たる必要がある.
索引用語 アカラシア, つかえ感