セッション情報 ポスターセッション(消化器外科学会)

食道・咽頭-手術治療 2

タイトル 外P-9:

表在型食道悪性黒色腫の1切除例

演者 岡村 明彦(慶應義塾大・一般消化器外科)
共同演者 大森 泰(慶應義塾大・一般消化器外科), 竹内 裕也(慶應義塾大・一般消化器外科), 福田 和正(慶應義塾大・一般消化器外科), 中村 理恵子(慶應義塾大・一般消化器外科), 高橋 常浩(慶應義塾大・一般消化器外科), 和田 則仁(慶應義塾大・一般消化器外科), 川久保 博文(慶應義塾大・一般消化器外科), 才川 義朗(慶應義塾大・一般消化器外科), 北川 雄光(慶應義塾大・一般消化器外科)
抄録 症例は70歳代女性.検診の上部消化管造影検査にて胸部中部食道に隆起性病変を認め,上部消化管内視鏡検査を施行した.同部に約30mm大の黒色隆起性病変を認め,生検にて悪性黒色腫が疑われ精査加療目的に当院紹介となった.術前上部消化管内視鏡検査では切歯列30-34cm左後壁に強い黒色調で厚みを持つわずかに隆起した病変と後壁に連続した黒色の0-Ip病変を認めた.また肛門側にも淡いメラノーシスを認めた.病変境界は不明瞭で表層はやや白色肥厚した正常上皮で覆われていた.病変は柔らかく比較的良好な可塑性を示したが畳目サインの進入を認めず,食道悪性黒色腫 cType0-I+IIa+IIb/sm1と診断した.CT・PET等では転移を認めず,3領域郭清を伴う根治的食道切除再建術を施行した.切除標本病理組織学検査では粘膜固有層にメラニン顆粒を有する異型細胞が充実性,胞巣状に増生する像が認められ,異型細胞はS-100蛋白陽性・HMB-45陽性となり悪性黒色腫の診断であった.腫瘍は粘膜筋板直上まで浸潤していたが粘膜筋板浸潤は認められず,深達度はpT1a-LPMであり,明らかな脈管侵襲やリンパ節転移を認めなかった.現在のところ無再発生存・経過観察中である.食道悪性黒色腫は極めて予後不良の疾患であり,発見される病変の大多数はリンパ節転移を伴った進行癌であることが多い.表在型食道悪性黒色腫の報告は少ないため,内視鏡形態・深達度診断などの臨床所見には不明の点が多く,治療方法と予後についても未だ確立された方針は無い.本症例はリンパ節転移のないLPM癌であり,本例の検討から稀な表在型食道悪性黒色腫の臨床所見について若干の考察を加え報告する.
索引用語 食道, 悪性黒色腫