セッション情報 ポスターセッション(消化器外科学会)

食道・咽頭-手術治療 2

タイトル 外P-10:

高齢者食道癌に対する胸腔鏡下食道切除術の検討

演者 水本 拓也(三木市民病院)
共同演者 御井 保彦(三木市民病院), 沢 秀博(三木市民病院), 黒田 大介(三木市民病院)
抄録 【はじめに】食道癌に対する外科治療として内視鏡外科手術の導入により術後肺合併症の減少,術後肺機能低下の軽減がみられたが,それでもなお食道癌手術は消化器癌の中で最も侵襲の大きな手術の一つである.特に高齢者では臓器予備能の低下が問題となるため,根治性と侵襲のバランスを考慮した治療が求められる.当科で経験した高齢者食道癌の2症例につき報告する.【症例】《症例1》83歳女性.嚥下時違和感を契機に上部消化管内視鏡検査を施行され下部食道に3型腫瘍を指摘,生検で扁平上皮癌と診断された.CT上縦隔,腹部リンパ節の腫大を認めFP療法を2コース施行後腹臥位胸腔鏡下食道切除,腹腔鏡下胃管作成,頚部吻合,2領域郭清を施行した.術後1病日抜管,その後特記すべき合併症を認めず術後58日で自宅退院となった.《症例2》82歳男性.食欲不振を主訴に他院を受診.上部消化管内視鏡検査で胸部中部~下部食道に表在型腫瘍を認め,扁平上皮癌と診断された.CT縦隔リンパ節(#106recR)の腫大を認めたが腎機能不良のため術前化学療法は施行せず腹臥位胸腔鏡補助下食道切除,腹腔鏡下胃管作成,頚部吻合,3領域郭清を施行した.術後1病日で抜管,一過性の反回神経麻痺による嚥下障害,嗄声を生じたが経腸栄養による栄養管理と嚥下リハビリを継続し術後3カ月で反回神経麻痺は軽快し嚥下も良好となった.2例ともに呼吸器合併症に留意し術前呼吸機能訓練,口腔ケアを行った.また術前画像診断でリンパ節腫大を認めなかったLN#107,#109はサンプリング程度の郭清に留め両側気管支動脈を温存した.術後疼痛による呼吸運動の抑制を予防する目的で胃管作成は腹腔鏡補助下で臍部4cmの小開腹創にて行い,早期の経腸栄養のため経腸栄養チューブ留置を行った.また可能な限り胸管は温存した.術後は早期から離床を図り廃用の予防に努めた.【結語】当院における高齢者食道癌に対する術前術後管理,手術手技の工夫を述べた.高齢者食道癌の治療では術前併存症,根治性と侵襲を考慮し症例ごとに方針や手技を検討する必要がある.
索引用語 食道癌, 高齢者