セッション情報 ポスターセッション(消化器外科学会)

食道・咽頭-手術治療 3

タイトル 外P-12:

胃癌胃全摘症例における食道癌手術の工夫

演者 藤崎 滋(藤崎病院・外科)
共同演者 高階 幹(藤崎病院・外科), 富田 凉一(日本歯大・外科), 高山 忠利(日本大・消化器外科)
抄録 (はじめに)食道癌切除後の再建に通常は胃管が使われるが,胃を使用できない場合,(回)結腸を用いることが多い.この際,再建腸管の挙上性を十分確保することと,挙上する回結腸に虚血を生じさせない工夫が必要である.症例によっては,低侵襲性にも配慮した術式の選択も必要である.(対象)以前に胃全摘が行われた症例,および胃癌が同時性重複癌として存在し胃全摘も考慮すべき症例に対して,食道癌切除を行う際の切除・再建術式の工夫を行った.(術式1)右開胸開腹食道亜全摘,結腸動静脈完全温存・回結腸による食道再建(胸骨後). 「再建腸管の血流の安定と挙上性の両者を満たした術式」であり,結腸の主要血管をすべて温存.腸間膜根も含めて,右結腸・回腸の完全な授動を行う. 注意点は,胸骨後を十分に剥離し,回腸の断端のみを頸部から引っ張らないように,腸間膜を一括して愛護的に胸部から頸部へ挙上することである. バイパス手術へ応用も可能である.(術式2)下部食道・Roux-en-Yの吻合部の切除およびRoux-en-Yによる再再建. 過大侵襲を避けるための術式である. 腫瘍の局在としてはLtもしくはEGが適応となる.(結果)術式1は,食道癌と胃癌の同時性重複癌の2例(52歳と71歳男性)に施行. 縫合不全はなく,術後7日および10日から経口摂取開始し,いずれも軽快退院. 1例は他病死(15ヶ月,無再発)および1例は癌死(3ヶ月). 術式2は,14年前に胃癌にて胃全摘した食道癌の1例(79歳女性)に施行. 縫合不全はなく,術後7日より経口摂取開始. 6年以上の無再発生存中. (結語)胃全摘後の食道癌手術に切除・再建の工夫を行い,安全に手術を実施できた. 再建腸管の血流の安定と挙上性は重要であり,かつ,高齢者・重複癌・進行例などの複雑化した病態には,低侵襲手術の工夫(局所切除やバイパス手術)も重要な要素と考えた.
索引用語 食道癌再建術, 胃全摘