セッション情報 ポスターセッション(消化器外科学会)

食道・咽頭-手術治療 3

タイトル 外P-14:

食道切除術後に発生した異時性頭頸部癌・食道癌に対する外科的切除

演者 井田 智(九州大・消化器総合外科DELIMITER熊本大・消化器外科)
共同演者 森田 勝(九州大・消化器総合外科), 安藤 幸滋(九州大・消化器総合外科), 木村 和恵(九州大・消化器総合外科), 佐伯 浩司(九州大・消化器総合外科), 沖 英次(九州大・消化器総合外科), 楠本 哲也(九州大・消化器総合外科), 吉田 聖(九州大大学院・耳鼻咽喉科学), 中島 寅彦(九州大大学院・耳鼻咽喉科学), 渡邊 雅之(熊本大・消化器外科), 馬場 秀夫(熊本大・消化器外科), 前原 喜彦(九州大・消化器総合外科)
抄録 【はじめに】食道癌は頭頸部癌との同時性,異時性重複が多く,手術や化学放射線療法(CRT)など集学的治療を要する.同時性重複では切除範囲や照射範囲が大きくなり,異時性重複では初回手術やCRTによる瘢痕・癒着などの影響が強く治療に難渋する.今回,食道切除術後に発生した異時性頭頸部癌・頚部食道癌(PhCe癌)の切除例を解析し,その安全性や治療効果について検討した.【対象と方法】 1994年から2012年までに食道癌切除術後に異時性(間隔6か月以上)に発生したPhCe癌に対し,根治術を行った14例(男性12例,女性2例,平均63歳)を対象とした.初発時からの治療経過,PhCe癌切除時の手術時間,出血量,術後合併症などの手術因子,予後についてretrospectiveに解析した.【結果】先行する食道癌に対しては全例,食道亜全摘,胃管再建術を施行しており,再建経路は胸壁前1例,胸骨後11例,後縦隔2例であった.異時性PhCe癌が発症するまでの平均観察期間は52ヶ月(8ヶ月から10年)であった.異時性PhCe癌の主座は下咽頭13例,頚部食道1例だった.全例に咽・喉頭・頸部食道摘出術を行ったが,喉頭温存を目指し手術に先行して化学放射線療法を13例に行っていた.動静脈の血管吻合を伴う遊離空腸にて全例再建した.手術時間,出血量の中央値はそれぞれ657分,656mlであった.術後合併症は4例(術後出血2例,縫合不全1例,イレウス1例)に認めたが,遊離空腸壊死や在院死など重篤な合併症は認めなかった.術後経口摂取開始までの期間は中央値で14日,在院日数中央値は29日であった.根治術後の2年生存率は73%,5年生存率は49%であった.【考察】食道切除後の異時性PhCe癌に対する咽・喉・食道摘出,遊離空腸再建においては,頚胸境界部の癒着により剥離が困難で,吻合は深部の狭い空間で行うことが多い.しかし,慎重な操作により,安全かつ確実な手術が可能である.
索引用語 食道癌, 異時性再発