セッション情報 ポスターセッション(消化器外科学会)

食道・咽頭-手術治療 3

タイトル 外P-15:

嚥下造影動画解析による胸部食道癌術後嚥下機能評価

演者 神谷 欣志(浜松医大・2外科)
共同演者 菊池 寛利(浜松医大・2外科), 平松 良浩(浜松医大・2外科), 尾崎 裕介(浜松医大・2外科), 高橋 善明(浜松医大・救急部), 藤田 剛(浜松医大・2外科), 宮崎 真一郎(浜松医大・2外科), 飯野 一郎太(浜松医大・2外科), 太田 学(浜松医大・腫瘍センター), 坂口 孝宜(浜松医大・2外科), 今野 弘之(浜松医大・2外科)
抄録 【はじめに】胸部食道癌の根治術後では,頚部郭清に伴う咽頭頚部食道の運動機能障害,吻合部の屈曲や狭窄,気管周囲の郭清に伴う咳嗽反射の低下,反回神経麻痺などの影響により,嚥下機能に障害を認める症例が少なくない.術後嚥下機能障害は,患者のQOLの低下や誤嚥性肺炎の発生などに大きな影響を及ぼす.近年,食道癌周術期における積極的なリハビリテーション介入の重要性が報告されているが,嚥下機能の客観的な評価に基づくリハビリテーション介入の報告は少ない.本研究は,食道癌術後の客観的な嚥下機能評価法を確立することを目的とした.【対象と方法】2011年1月より2012年12月に当科にて根治切除術を施行した胸部食道癌42例中,術後臨床的に嚥下障害の症状を呈し,嚥下リハビリテーションの介入を受けた9症例を対象とした.全例嚥下造影を行い,分割嚥下,誤嚥,喉頭侵入,咽頭残留のいずれかを認めた4例(障害群)といずれも認めない5例(正常群)の2群に分類した.動画解析ソフトPV Studio 2D(OA Science, Japan)を用いて嚥下造影側面像の舌根,喉頭蓋谷,喉頭蓋,披裂部,梨状陥凹,舌骨の各ポイントの移動座標値を経時的に測定し,それらの最大移動距離,最大速度,任意の2点間距離を2群間で比較検討した.【結果】(1) 障害群では3例に反回神経麻痺(両側2例,片側1例)を認め,そのうち1例で気管切開チューブが挿入されていた.正常群では,1例で肺炎の治療のために気管切開チューブが挿入されていたが,反回神経麻痺は全例で認めなかった.(2) 障害群で舌骨最大移動距離が有意に長かった.(3) 最小喉頭蓋-披裂部間距離が正常群で有意に短かった.(4) 障害群で各測定ポイントの協調した移動の障害が観察された.【まとめ】本研究では,障害群において各測定ポイントの移動障害は明かではなかったが,舌,咽頭,喉頭の協調運動障害が術後嚥下障害に関与している可能性が示唆された.
索引用語 食道癌術後, 嚥下機能