セッション情報 ポスターセッション(消化器外科学会)

食道・咽頭-手術治療 4

タイトル 外P-18:

Barrett食道腺癌に対するセンチネルリンパ節理論に基づいた低侵襲個別化手術の開発

演者 竹内 裕也(慶應義塾大・外科)
共同演者 川久保 博文(慶應義塾大・外科), 中村 理恵子(慶應義塾大・外科), 高橋 常浩(慶應義塾大・外科), 和田 則仁(慶應義塾大・外科), 才川 義朗(慶應義塾大・外科), 大森 泰(慶應義塾大・外科), 北川 雄光(慶應義塾大・外科)
抄録 【目的】Barrett食道腺癌のリンパ節転移の有無と転移部位診断は,術式,リンパ節郭清範囲に関わる重要な課題である.腫瘍原発巣からリンパ流を介して最初の転移が生じるリンパ節をセンチネルリンパ節(SN)と呼ぶが,これまで我々は食道癌に対するSN同定を試み,リンパ節転移診断において良好な成績を報告してきた.今回我々はBarrett食道腺癌におけるSN生検の成績を食道扁平上皮癌と比較検討した.またSN理論に基づいたBarrett腺癌に対する術式の選択を考案した.【対象】これまでに当科で経験したBarrett腺癌根治手術症例17例のうち8例のcT1N0M0症例に対してradioisotope法によるSN生検を施行した.この8例は全例占居部位LtあるいはAe(EG)であった.そこで同時期に食道扁平上皮癌Lt,Ae症例でSN生検を施行した14例とBarrett腺癌症例におけるSN局在を比較検討した. 【結果】 SNは1症例あたりBarrett腺癌平均3.9個,扁平上皮癌4.6個同定された.リンパ節転移陽性例はBarrett腺癌3例,扁平上皮癌9例であった.Barrett腺癌8例におけるSNの分布を検討してみると腹部,下縦隔リンパ節が大部分を占めたものの,中縦隔やNo.105やNo.106recRがSNとして同定された症例も存在しており,扁平上皮癌症例におけるSN分布やBarrett腺癌全17例のリンパ節転移部位・頻度と明らかな差を認めなかった.SN存在部位により,(腹腔鏡下)下部食道噴門部胃切除術,(胸腔鏡・腹腔鏡下)胸部食道切除・高位胸腔内食道胃管吻合術等の術式選択が可能であった.胸腔鏡・腹腔鏡下手術に際しては腹腔鏡下胃管作製術を先に行い,次に胸腔鏡下食道切除,縦隔リンパ節郭清術を施行したのち,胸腔内で食道胃管吻合を行った.また1例において腹腔鏡下SN生検術でSN転移陰性であることを確認し,原発巣をESDで切除し経過観察を行った.【結論】Barrett食道腺癌においてはSN分布と転移状況に基づいた新しい低侵襲個別化手術が可能と考えられた.
索引用語 Barrett食道癌, センチネルリンパ節