セッション情報 | ポスターセッション(消化器外科学会)食道・咽頭-手術治療 4 |
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タイトル | 外P-20:食道切除後再建術における工夫と短期治療成績 |
演者 | 木村 祐輔(岩手医大・外科) |
共同演者 | 岩谷 岳(岩手医大・外科), 秋山 有史(岩手医大・外科), 鴻巣 正史(岩手医大・外科), 遠藤 史隆(岩手医大・外科), 藤原 久貴(岩手医大・外科), 西塚 哲(岩手医大・外科), 大塚 幸喜(岩手医大・外科), 新田 浩幸(岩手医大・外科), 肥田 圭介(岩手医大・外科), 佐々木 章(岩手医大・外科), 水野 大(岩手医大・外科), 若林 剛(岩手医大・外科) |
抄録 | 【目的】食道癌手術における縫合不全や胃管の血流障害は,時に重篤化し致命的となる.このため食道切除後の再建の際には,血流良好な再建臓器の作成と正確な吻合手技が要求される.当科では,後縦隔経路胃管再建,頚部吻合を標準術式としている.再建の工夫と治療成績を報告する.【対象】1992.2~2012.12に右開胸あるいは胸腔鏡下に食道切除術を施行した390例を対象とした.【結果】再建臓器は,胃管:371, 結腸:19,再建経路は,後縦隔経路:376,胸骨後経路:14例.【後縦隔経路胃管再建の実際】胃管作成は1992.2~2011.12までは開腹下で,2012.1からは腹腔鏡補助下に施行してきた.両者で腹腔内における胃の遊離手順に若干の相違はあるものの,右胃大網動静脈を茎とする大彎側胃管は,同様に体外で作成する.胃穹窿部を頚部方向に牽引し,最遠位部位を頂点として,自動縫合器にて胃を小彎に向け切離する.右胃動静脈は通常2-3本温存する.切離したstapler lineを覆うために吸収糸を用い漿膜筋層縫合を追加する.胃管をビニルシートで覆い後縦隔経路に胃管を頚部に挙上.吻合は食道-胃管端側吻合とし,胃管先端から約2cm肛門側の後壁を吻合部に設定する.吻合は手縫いで層々2列吻合を行う.漿膜(外膜)筋層および粘膜-粘膜下層それぞれを4-0 吸収糸を用い結節縫合する.この際,粘膜同士の接触面積を広く確保するよう意識する.漿膜(外膜)の前壁は結紮縫合で外翻させる.吻合終了後,胃管を腹腔側に牽引,直線化し終了する.幽門形成は行わない.【成績】胃管再建を施行した390例中,縫合不全14例(3.58%),拡張術を要した吻合部狭窄8例(2.1%),胃管壊死2例(0.05%)だった.手縫い縫合による食道―胃管吻合は,腫瘍占居部位や頸部食道の長さによらず一定の手技で行うことが可能であり,縫合不全,吻合部狭窄などの重篤な合併症の発生も少なく,短期成績も良好であり有用な術式と考えられる.手技の工夫を供覧する. |
索引用語 | 食道癌, 再建術 |