セッション情報 ポスターセッション(消化器外科学会)

食道・咽頭-手術治療 4

タイトル 外P-21:

食道再建術における胸三角皮弁(DP-flap: delta pectoral flap: 上胸部水平有茎皮弁)の応用

演者 猶本 良夫(川崎医大・総合外科学)
共同演者 繁光 薫(川崎医大・総合外科学), 山辻 知樹(川崎医大・総合外科学)
抄録 高齢者ならびに糖尿病,高血圧症症例などの増加とともに,血管系に器質的病変を有する食道癌症例が増加してきている.また,放射線化学療法後に切除を行うサルベージ手術例においても縫合不全率が課題となっている.各種の要因により起こった食道・胃管吻合部難治性縫合不全部に対しては,皮弁を用いた再建が選択肢の一つとなりうる.
手術のおよそ7~10日前に遅延皮弁をあらかじめ作成して,もう一度もとの位置に戻し縫合しておくことで,手術時の血流低下による皮弁壊死を予防できる利点がある.縫合不全部に対する修復のデザインと手技に習熟すれば,比較的安全で簡便に施行できる利点がある.
また,食道胃管吻合―気管瘻の一例に対し,本邦を用いて,修復を行った.これは頸部吻合を手縫いで行ったものが,頸部創からのleakageは全くなく小範囲の吻合部の破綻が気管膜様部の破綻を惹起したものと考えられる症例である.まず,食道胃管吻合部の閉鎖を行い,DP-flapを用いて気管膜様部欠損部を閉鎖した.左側の比較的幅の狭いDP-flapに対してdelayを置き,左頸部からのアプローチで吻合部口側の食道をテーピングし,さらに瘻孔部肛門側の胃管を全周に剥離,テーピングした.その後,食道胃管吻合―気管瘻を分離した.DP-flapの気管膜様部欠損部を被覆する部のみ上皮を温存し,その他,皮下,体腔内DP-flap上皮は全層で剥離,切除した.まず,食道胃管吻合部を閉鎖し,次に,気管膜様部と島状に温存したDP-flapの上皮を縫合し,気管膜様部欠損部を被覆した.
これまで,14例にDP-flapを用いた食道胃管吻合部の閉鎖を行い,1例で食道胃管吻合―気管瘻の閉鎖を行い良好な成績を得た.これらのデータと手技を供覧する.
索引用語 DP-flap, 皮弁