セッション情報 ポスターセッション(消化器外科学会)

食道・咽頭-手術治療 5

タイトル 外P-23:

胸部食道癌に対する腹臥位胸腔鏡下食道切除,腹腔鏡下胃管作製術

演者 久保 尚士(大阪市立大大学院・腫瘍外科学)
共同演者 大平 雅一(大阪市立大大学院・腫瘍外科学), 櫻井 克宣(大阪市立大大学院・腫瘍外科学), 豊川 貴弘(大阪市立大大学院・腫瘍外科学), 田中 浩明(大阪市立大大学院・腫瘍外科学), 六車 一哉(大阪市立大大学院・腫瘍外科学), 山下 好人(大阪市立総合医療センター・消化器外科), 永原 ひとし(大阪市立大大学院・腫瘍外科学), 木村 健二郎(大阪市立大大学院・腫瘍外科学), 天野 良介(大阪市立大大学院・腫瘍外科学), 大谷 博(大阪市立大大学院・腫瘍外科学), 八代 正和(大阪市立大大学院・腫瘍外科学), 前田 清(大阪市立大大学院・腫瘍外科学), 平川 弘聖(大阪市立大大学院・腫瘍外科学)
抄録 切除可能胸部食道癌に対する標準治療は,リンパ節郭清を伴う食道切除である.しかし同術式は,他の消化器癌手術と比較して,術後合併症や治療関連死亡率が高いと報告されており,近年,その低侵襲化を図るために,胸腔鏡下食道切除(VATS-E)が普及してきた.我々の施設も2000年に同法を導入し,現在までに140例を施行してきた.VATS-Eは従来,左側臥位で行なってきたが,2010年からは,二酸化炭素気胸下に腹臥位食道切除 (prone VATS-E )を導入し現在に至る.我々の工夫としては,患者を左半腹臥位にマジックベッドを利用して固定後に,ベッドをローテーションし,腹臥位で手術を行う.緊急時は,ベッドを側臥位へローテーションし,側方開胸を行う. prone VATS-Eは側臥位と比較すると,体位による重力と二酸化炭素気胸で視野展開が良好となった.最も,郭清が困難とされる左反回神経周囲沿いのリンパ節郭清も,ポートから挿入できる幅1cmの金属鉤により,気管を腹側に圧排し,テーピングした食道を背側に牽引し,良好な視野展開が可能となった.また反回神経周囲沿いのリンパ節郭清は,バイポーラー鋏鉗子を利用することにより周囲への熱の波及を最小限にして,反回神経麻痺を低減させる試みを行なっている.腹部操作は用手補助腹腔鏡下に胃を脱転し,胃管を作製している.側臥位VATS-Eと比較して,腹臥位は有意に術中出血量が少なく(123 vs 250 ml p=0.03),術後肺合併症は低頻度(4.0 vs 17.5 % p=0.067)であった.また術後1,2日目のCRP値とSIRS日数(1.6 vs 2.6 day p=0.02)も側臥位と比較して有意に少なかった.二酸化炭素下気胸と重力により,視野展開が良好となり,周囲組織の圧排が不要となったこと,出血量が減少したことなどが低侵襲を誘導した要因と示唆された.
索引用語 食道癌, 胸腔鏡