セッション情報 ポスターセッション(消化器外科学会)

食道・咽頭-手術治療 5

タイトル 外P-24:

これからの標準手術となりうるべき胸腔鏡下食道癌手術

演者 李 栄柱(大阪市立大大学院・消化器外科学)
共同演者 大杉 治司(大阪市立大大学院・消化器外科学), 岸田 哲(大阪市立大大学院・消化器外科学), 大河 昌人(大阪市立大大学院・消化器外科学), 藤原 有史(大阪市立大大学院・消化器外科学), 橋場 亮弥(大阪市立大大学院・消化器外科学), 松田 恭典(大阪市立大大学院・消化器外科学), 枝川 永二郎(大阪市立大大学院・消化器外科学)
抄録 【はじめに】食道癌に対する手術は,開胸術においても難易度の高い手術であるが,それを鏡視下で行うにはより難易度の高い手術となる.しかし近年,鏡視下手術の普及,発展に伴って食道癌に対する鏡視下手術が年々増えてきており,日本内視鏡外科学会の2012年の集計報告では年間約1246例と約1/4近い症例において食道癌に対する鏡視下手術が行われている.鏡視下手術の利点には体壁破壊の軽減による低侵襲化とcosmeticな利点があるが,それら以外に鏡視下手術における拡大視野下では微細な臨床解剖の把握が可能となり,それが手術に関わる全員に等しく共有でき教育的である利点を生み出している.また,この微細解剖の知見が開胸手術へfeed backできる利点も大きい.当科では1996年より胸腔鏡下食道癌根治術を導入し,胸部食道癌に対する標準術式としてこれまで473例に施行してきた.食道癌に対するこれからの標準手術となりうるべき微細解剖に沿った胸腔鏡下食道癌根治術についてビデオで供覧するとともにその成績について報告する.【対象】1996年より胸部食道癌に対して胸腔鏡下食道切除術を施行した472例と同時期に通常開胸食道切除術(開胸移行例を含む)を施行した149例.【成績】これまで胸腔鏡例で重篤な術中偶発症は認めていない.胸腔鏡例の平均胸部操作時間は189分,出血量は189 g ,郭清縦隔リンパ節個数は38個,術3カ月後の%VCの低下は15%のみであった.胸腔鏡例と通常開胸例の5年生存率は,pSt0では92.6% と76.2%,pSt1では91.2% と90.9%,pSt2では71.7%と73.2%,pSt3では57.3%と58.1%,pSt4aでは36.7%と24.4%であった.リンパ節転移別ではpN0が88.1%と80.4%,pN1が61.4%と68.3%,pN3が46.2%と45.8%であった.【まとめ】胸腔鏡例の遠隔成績は同時期の通常開胸例に比較しても遜色なく,食道癌に対する胸腔鏡下手術はこれからの標準術式となる.
索引用語 食道癌, 鏡視下手術