セッション情報 ポスターセッション(消化器外科学会)

食道・咽頭-手術治療 5

タイトル 外P-26:

食道癌周術期における頻脈性不整脈に対する塩酸ランジオロールの有用性

演者 丹羽 由紀子(名古屋大大学院・消化器外科学)
共同演者 小池 聖彦(名古屋大大学院・消化器外科学), 鳥居 康二(名古屋大大学院・消化器外科学), 西 鉄生(名古屋大大学院・消化器外科学), 神田 光郎(名古屋大大学院・消化器外科学), 小林 大介(名古屋大大学院・消化器外科学), 田中 千恵(名古屋大大学院・消化器外科学), 山田 豪(名古屋大大学院・消化器外科学), 中山 吾郎(名古屋大大学院・消化器外科学), 杉本 博行(名古屋大大学院・消化器外科学), 野本 周嗣(名古屋大大学院・消化器外科学), 藤原 道隆(名古屋大大学院・消化器外科学), 小寺 泰弘(名古屋大大学院・消化器外科学)
抄録 【目的】頻脈性不整脈は食道癌周術期でしばしばみられる合併症である. 当科はこれまでCa拮抗薬,ジソピラミド,ジギタリス製剤を組み合わせて治療を行ってきたが, 2012年より短時間作用型β1ブロッカーである塩酸ランジオロールを使用開始したので, 従来の治療薬とランジオロールを比較し頻脈性不整脈に対する治療効果を検討する. 【対象と方法】2007年4月から2013年3月までの6年間に施行した右開胸食癌手術231名中, 術後に頻脈性不整脈を合併し薬剤治療を要した25名(10.8%)のうち, 両薬剤を同時併用していない20名を対象とした. 従来の薬剤治療を行ったコントロール群13名と塩酸ランジオロール群7名の2群に分けretrospectiveに比較検討した. 塩酸ランジオロールは持続静脈内投与で開始し, 順次ビソプロロールフマル酸塩の経腸投与に移行した. 【結果と考察】男性19名女性1名. 年齢中央値は65歳. 既往症を18名(90%)に認め, 術前にARB,βブロッカー,Ca拮抗薬のいずれかを内服しているのは9名(45%)であった. 術前化学療法は10名(50%)に施行されており, 術前放射線治療は施行されていなかった. 不整脈の種類は心房細動が18名, 洞性頻脈が2名であった. 薬剤治療開始後3時間での心拍数減少率(平均±標準偏差)はコントロール群で27±10%, 塩酸ランジオール群で30±12%であり差を認めなかったが(p=0.60), 術後発症した心房細動が3時間以内に洞調律に回復したのはコントロール群で15%, 塩酸ランジオロール群で75%と塩酸ランジオロールで高かった (p=0.026). 有害事象は塩酸ランジオロール群で1名に徐脈を認めた. 塩酸ランジオロール最大投与濃度は中央値10(6-15)γであり,推奨用量の20γを下回っていたため十分な効果を得られていない可能性がある. 【結語】食道癌周術期における頻脈性不整脈に対する塩酸ランジオロール投与は洞調律回復には有効であった.
索引用語 頻脈性不整脈, 塩酸ランジオール