セッション情報 |
ポスターセッション(消化器外科学会)
食道・咽頭-集学的治療
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タイトル |
外P-28:cStageII/III食道癌に対する術前補助療法の意義
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演者 |
木村 和恵(九州大大学院・消化器・総合外科学DELIMITER国立九州医療センター・消化器センター外科臨床研究センター) |
共同演者 |
佐伯 浩司(九州大大学院・消化器・総合外科学), 安藤 幸滋(九州大大学院・消化器・総合外科学), 沖 英次(九州大大学院・消化器・総合外科学), 森田 勝(九州大大学院・消化器・総合外科学), 坂口 善久(国立九州医療センター・消化器センター外科臨床研究センター), 楠本 哲也(九州大大学院・消化器・総合外科学DELIMITER国立九州医療センター・消化器センター外科臨床研究センター), 池尻 公二(国立九州医療センター・消化器センター外科臨床研究センター), 前原 喜彦(九州大大学院・消化器・総合外科学) |
抄録 |
【背景】JCOG9907の結果により cStageII/III食道癌に対して,術前化学療法(NAC)が標準治療として行われるようになった.当科では,術前化学放射線治療(CRT)を行ってきたが,2009年後半に臨床的Non-T4 StageII/III食道癌に対してNACを導入した. 【目的】cStageII/III食道癌の治療成績を治療法別に検討し,術前補助療法の臨床的意義を明らかにする.【対象・方法】NAC導入の前後で治療成績を検討した.(1)NAC導入前(1998-2009年):切除術が施行されたcStageII/III食道癌204例について,術前化学放射線療法(NACRT:30-40Gy, standard FP療法2コース or low dose FP療法)施行の有無別に臨床病理学的因子,予後を検討.(2)NAC導入後(2009年以降):NAC症例の短中期成績を検討.【結果】 (1)NACRTの検討:NACRT群(n=89)は術前無治療群(n=115)に比べて臨床的深達度が深かった(p<0.005).NACRT群の37例(41.6%)に術後合併症を認め,術前無治療群の31例(27.0%)に比べて発生率が高かった(p<0.05).全症例の5年生存率は術前無治療群44.5%(n=115),NACRT群51.4%(n=89),cStageII/IIIで有意な差はなかった.NACRT群の組織学的治療効果別5年生存率はGrade0,1(n=38)27.9%,Grade2(n=30)50.0%,Grade3(n=21)95.2%であり,Grade3で予後が良好であった(p<0.005).(2)NACを17例に施行,1例がSIADHを発症したため1コースで終了した.全例に対して根治術が施行され,手術関連死亡はなかった.NAC群はcStageII/IIIがそれぞれ6/11例.cStageIII症例のうち3例にリンパ節再発(それぞれ術後2.6ヶ月,5.0ヶ月,8.5ヶ月),1例に肺転移(術後3.1ヶ月).【結語】cStageII/III食道癌術前補助療法は安全に施行できた.NAC症例ではGrade3が得られにくく,早期に再発をきたす症例も認めたことから,NAC対象症例の選択を慎重に評価する必要がある. |
索引用語 |
食道癌, 術前補助療法 |