セッション情報 ワークショップ10(消化器内視鏡学会・消化器病学会・消化器がん検診学会合同)

患者にやさしい大腸内視鏡検査の工夫

タイトル 内W10-7:

経鼻内視鏡を用いた前処置薬注入による上部・下部消化管内視鏡検査同日実施(one-day method)の有用性

演者 結城 美佳(出雲市立総合医療センター・内科)
共同演者 駒澤 慶憲(出雲市立総合医療センター・内科), 福原 寛之(出雲市立総合医療センター・内科)
抄録 近年我が国の大腸癌患者は増加しており、早期発見のために下部消化管内視鏡検査(CS)は有用である。しかし以前我々の検討で便潜血検査陽性であってもCS未受検者が約4割あり、その理由に前処置に対する抵抗が約1割近との報告もある。今回経鼻内視鏡からの前処置薬であるポリエチレングリコール(PEG)注入によるCS前処置の苦痛軽減効果と上部・下部消化管内視鏡検査同日実施の有用性を検討した。【方法】当院にてH23年1月から12月にCSを施行した患者を、無作為に経鼻内視鏡的にPEGを注入する注入群と、PEG全量を内服する内服群に振り分け、苦痛軽減効果と安全性、有用性について前向き検討をおこなった。前処置所要時間、副作用症状の調査と患者アンケートをおこなった。当院では普段から経鼻内視鏡検査時に咽頭麻酔を行わないため、検査直後からの飲食が可能であるが、今回注入群では経鼻内視鏡一連の検査終了後、下十二指腸角から自作の連結ューブを用いて鉗子孔から自動注入器でPEG800ml注入、残りの1200mlを30分後から内服した。【結果】前処置所要時間は注入群で146±12.6分、内服群で185.4±16.2分であり注入群のほうで有意に短かった。また患者アンケートでは前処置の受け入れ易さは注入群で82.2%、内服部群で61.4%であった。また次回も同じ前処置法を希望する、別の前処置法を希望するがそれぞれ注入群で89%と6%、内服部群で64%と23%であった。また前処置に伴う副作用は特に重篤なものはなく、両群で特に差はなかった。特に経鼻内視鏡を同日に施行した内服群でも腹満など症状増加は認めなかった。【結論】注入群では前処置所要時間が有意に短縮され、患者アンケート結果は注入群の方で人気が高い傾向であり、経鼻内視鏡からのPEG注入法はCSの前処置苦痛軽減効果に有用であった。さらに安全性も同等であった。またone-day methodにより早期胃癌を発見できた症例もあり、苦痛軽減のみでなく有用な方法であると考えられる。
索引用語 前処置苦痛軽減, one-day method