セッション情報 ポスターセッション(消化器外科学会)

食道・咽頭-集学的治療

タイトル 外P-32:

局所進行胸部食道癌に対する集学的治療の検討

演者 武田 茂(山口大大学院・消化器・腫瘍外科学)
共同演者 北原 正博(山口大大学院・消化器・腫瘍外科学), 兼清 信介(山口大大学院・消化器・腫瘍外科学), 渡邊 裕策(山口大大学院・消化器・腫瘍外科学), 吉野 茂文(山口大大学院・消化器・腫瘍外科学), 岡 正朗(山口大大学院・消化器・腫瘍外科学)
抄録 【背景】StageII/III食道癌治療についてはJCOG9907試験の結果,術前化学療法(NAC)の有用性が示されてきた.一方,局所進行食道癌に対しては手術,化学療法,放射線療法による集学的治療を行うが,術前治療は腫瘍縮小効果だけでなく手術の安全性を考慮する必要があり,一定の見解は得られていない.【目的】今回われわれは,cT3T4食道癌に対する治療についてretrospectiveに解析し,治療戦略について検討を行った.【対象】2007年から2011年まで当科にて初回治療を行った胸部食道癌症例のうち,他臓器転移のないT3T4症例63例を対象とした.T3(42例),T4(21例)それぞれについて,初回治療別に術前化学療法(FP2コース)群(NAC:14例),手術先行群(OPE:23例),化学放射線療法群(CRT:26例)に分け,治療成績の検討を行った.【結果】深達度別の5年生存率は,T3/ T4:45.9 / 10.0%でT3群が有意に高かった(p<0.01).リンパ節転移別ではN0 / Nany:29.2 / 32.8%で差を認めなかったNAC群において一次治療の効果はPR / SD / PDが7 / 6 / 1 例で,それぞれの2年生存率は85.7 / 33.3 / 0 %でPR例が高い傾向であった(p=0.08).T3症例では,切除群(NAC+OPE)と非切除群(CRT)では57.9 / 13.9%で切除群の予後が有意に良好であった(p=0.004).T3切除症例について生存率を比較するとNAC / OPE 80 / 57.9 %とNAC症例で良好であったが,統計学的な差を認めなかった.【考察】局所進行食道癌においては初期治療による局所制御が予後の向上に有用であった.NACの効果はT3症例で生存率が高い傾向にあったが,さらに有効な術前治療の導入が必要であると思われた.
索引用語 食道癌, 術前化学療法