セッション情報 |
ポスターセッション(消化器外科学会)
食道・咽頭-その他 1
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タイトル |
外P-34:オクトレオチド投与を含めた保存的加療が奏効した食道癌術後に発生した乳糜胸の1例
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演者 |
久保 秀文(綜合病院社会保険徳山中央病院・外科) |
共同演者 |
中須賀 千代(綜合病院社会保険徳山中央病院・外科), 多田 耕輔(綜合病院社会保険徳山中央病院・外科), 宮原 誠(綜合病院社会保険徳山中央病院・外科), 長谷川 博康(綜合病院社会保険徳山中央病院・外科) |
抄録 |
今回,われわれは進行食道癌術後に発生した難治性の乳糜胸に対して酢酸オクトレオチド投与およびミノマイシン胸腔内注入などの保存的治療が奏効した1例を経験した.症例は52歳男性,2012年 9月に進行食道癌c-T3N1M0Stage3の診断で術前化学療法を施行した.効果判定NCにて同年11月右開胸食道亜全摘術,3領域リンパ節郭清を施行した.術後第3病日より右胸腔ドレーン排液量が増加し成分分析より乳糜胸と診断した.低脂肪食摂取を継続し同時に酢酸オクトレオチドを連日投与した.これにより排液量は漸減したが500ml/日以上の排液が持続した.その後ミノマイシンを胸腔内へ追加注入したがすぐには奏効が見られなかった.完全絶食,経静脈栄養管理として再度の酢酸オクトレオチド投与を連日したところ徐々に排液量の減少を認め術後50日目にドレーン抜去し59日目に軽快退院となった.現在,術後乳糜胸に対する保存的加療ではオクトレオチドを中心とするソマトスタチンレセプターを介するリンパ流減少を起こす薬剤とOK432やミノマイシンなどの癒着を起こさせる薬剤に大別されるがそれらの投与順序,時期,投与方法,至適量,投与期間についての確立されたものはない.また保存的治療に反応しない場合には時期を逸さぬように外科的治療に踏み切らなければならないが,侵襲の大きい術後でもあるため実際にはその判断は困難なことが多いと考えられる.本症例を含めて2000年以降に食道癌術後の乳糜胸の症例が24例報告されていた.このうち11例に胸管結紮の再手術が施行されており13例は薬物療法を主体とした保存的治療で治癒していた.これら24例を集計してその臨床的特徴を検討したので文献的考察を加えて報告する. |
索引用語 |
食道癌, 乳び胸 |