セッション情報 ポスターセッション(消化器外科学会)

食道・咽頭-その他 1

タイトル 外P-35:

食道癌術後乳糜リンパ漏:早期経腸栄養とインフォメーション・ドレーンの意義

演者 上原 拓明(琉球大・1外科)
共同演者 下地 英明(琉球大・1外科), 長濱 正吉(琉球大・1外科), 狩俣 弘幸(琉球大・1外科), 西巻 正(琉球大・1外科)
抄録 【目的】食道癌術後の乳糜リンパ漏(以下CL)における早期発見および進行予防法は確立されていない.今回我々は,術後早期経腸栄養とインフォメーション・ドレーンの,CLにおける意義を明らかにすることを目的とする.【方法】2002年から2012年までの,当施設における食道癌切除症例118例を対象とした.当施設では,術中に小腸瘻,胃管瘻を造設して,術後早期経腸栄養を実施している.また胸腔内のインフォメーションとして右胸腔・右下縦隔・左下縦隔へ計3本のドレーンを留置し,その他にも左横隔膜下に1本,術式によっては頸部にもドレーンを留置している.CLの早期発見におけるインフォメーション・ドレーンの役割を評価し,保存的治療が成功したCL発症例における有用なパラメーターの検討を行うため,上記118例の診療録をもとに,観察研究を行った.【成績】CLは118例中11例(9.3%)にみられた.CL発症群の術後第1,2病日の平均胸腔ドレーン排液量は有意差をもって未発症群より多かった(p=0.0025).CL発症群のうちPOD4までに発症した7例(64%)は,経腸栄養開始後3日以内にCLを診断されており,1日あたりの乳糜リンパ液排出量も500mL以下であった.また5例(45%)は胸腔ドレーン以外からの乳糜リンパ液の漏出を認めていた.さらに10例(91%)は保存的治療が成功し,うち9例(82%)は乳糜リンパ液排出量が減少した.保存的治療が成功したCL発症例の特徴として,POD14以降の発症であること,CL発症ドレーン排液量の変化率(保存的治療開始後4日間の平均排液量/開始前の排液量)<1.0であることのいずれかの条件を満たしていた.【結論】術後早期経腸栄養と術中のインフォメーション・ドレーンの留置は,食道癌術後のCLの早期発見,早期治療を容易にした.CLにおける発症日とCL発症ドレーン排液量の変化率は,保存的治療の成功の有無を予測する有用なパラメーターをなり得ると考えた.
索引用語 乳糜リンパ漏, 食道癌